ヨーロッパ文化教養講座(2021年イタリア映画「丘の上の本屋さん」鑑賞記)
2024/06/04
田舎村の古本屋のオーナーとアフリカ移民の少年、隣のBARのウエーターとの交わりを中心として、古本屋を訪れる本好きの客たちのエピソードを交えた、静かで地味な味わいのある映画。
そして、その後ろに政治的な主張も隠されていると思った。
好きなところ:
1.主人公オーナー、リベロ(Libero =自由)(演 レモ・ジローネ)の落ち着いた、深みのある演技。
2.移民の少年エシエンにリベロが貸し出す名作たち。
世界人権宣言につながる、人種差別(人形・動物差別を含む)や出自差別反対の思想が底流に流れていることを感じた。
ピノキオ->イソップ物語->星の王子さま->白鯨->シュヴァイツアー
->アンクル・トムの小屋->白い牙->ロビンソン•クルーソー->ドン•キホーテ->世界人権宣言
3.エシエンの棒読みだが綺麗なイタリア語のセリフが「移民」で「優秀な」少年だということを表現しているところ。
4.村からの眺望や背景の景色の美しさ。
引っかかったところ:
1.リベロが、オルゴールを聴きながら熱心に読んでいる、若い女性の書いた日記の意味が良くわからなかった。
2.もう少し尺を長くしても良いので、リベロの生い立ちなどを知りたかった。