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【前編】AI Scientistとは...? SAのDXチームが調べてみた!
こんにちは!
東北大学サイエンス・アンバサダー(SA)、DX (Digital Transformation; デジタルトランスフォーメーション) チームのさら、ひろみ、ちひろ、わかなです!
今回は、人工知能が自分で研究してしまうという「AI Scientist」についてお話ししたいと思います。
近年、人工知能(AI)技術が、目覚ましい発展を遂げています。特にここ数年で急激な進化を遂げ、使い方次第で私たちの生活をより便利で快適なものにする可能性を秘めています。将棋ロボットや東大受験ロボットなど、AIを利用した技術についてはたびたびニュースで耳にすることもあり、私たちの生活にとっても身近な存在になってきているところです。
そんな中、自然科学の研究にAIを活用しようというアイデアがあることをご存じでしょうか?
このような試みの中で特に大きな注目を集めているのが、日本のベンチャー企業、Sakana AI社が報告した「AI Scientist」です。
今回、私たちSAのDXチームは、この「AI Scientist」がどのように研究を進めるのかを調べ、まとめることにしましたので、その結果を報告します。
具体的には、「AI Scientist」による研究活動は主に、「アイデアの生成」、「自動実験」、「論文の執筆」、「論文の査読」から構成されます。その中から、「1. AIとはなにか?」、「2. アイデアの生成」、「3. 論文の執筆」、「4. 論文の査読」の4つの観点からご紹介します。
[参照]
Lu, Chris, et al. "The AI Scientist: Towards fully automated open-ended scientific discovery." arXiv preprint arXiv:2408.06292 (2024).
1. AIとはなにか?
まずは、「AI、大規模言語モデル(LLM)とは?」について、さらがお話ししたいと思います。
AI(人工知能)は、私たちの生活のあらゆる場面で利用されています。たとえば、スマートフォンの音声アシスタント、検索エンジン、翻訳アプリなどです。この記事では、AIの中でも特に「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれる技術について、わかりやすく説明していきます。
1-1. AI(人工知能)とは?
AIとは、人間が行うような思考や学習を、コンピュータにさせる技術のことです。AIは、問題を解いたり、データをもとに新しい知識を得たり、人間と自然な会話をしたりすることができます。
1-2. 大規模言語モデル(LLM)とは?
LLM(Large Language Model、大規模言語モデル)は、AIの一種で、人間の言葉を理解したり作ったりすることが得意な技術です。LLMは、膨大な量の文章データをもとに学習し、どんな言葉が次に来るかを予測することができます。
例えば、あなたが「今日は」と書くと、LLMは「いい天気」や「学校に行く」など、次に続く可能性がある言葉を予測することができます。
1-3. LLMはどのようにして学習しているの?
LLMは、インターネット上の文章、ニュース、書籍など、大量のテキストを使って学習します。この学習を通じて、出現する確率をもとにモデル化することにより違和感の少ない文章を出力します。
この学習が「大規模」なのは、膨大な数の文章と、たくさんのコンピュータの力を使っているからです。まるで何百、何千冊もの本を一気に読んで「パターン」を学習しています。
1-4. LLMの活用例
LLMは、私たちの生活の様々な場面で活用されています。いくつかの例を以下に紹介します。
(1) チャットボット
カスタマーサービスのチャットや、オンラインでの質問応答にLLMが使われています。ユーザーの質問に自動で答える仕組みは、まるで本物の人と会話しているように感じますよね。
(2) 翻訳アプリ
Google翻訳やDeepLなどの翻訳アプリもLLMと共通した技術を活用しています。これにより、旅先でも簡単に言語を超えてコミュニケーションできるようになりました。
(3) 自動文章生成
LLMは、人間が書いたような自然な文章を作ることができます。ニュース記事やブログ、メールの自動生成にも使われており、例えば大量のデータを要約する仕事などが自動化されています。最近よく耳にするChat-GPTもLLMの技術を活用しています。
1-5. 「AI、大規模言語モデル(LLM)とは?」 まとめ
みなさん、「AIと大規模言語モデル(LLM)」についての理解は深まりましたでしょうか?私はDXチームで活動するまでは「LLMって何?実際にどのように活用されているの?」と謎だらけでしたが、私たちの生活を便利にするために様々な場面で活躍していることがわかりました!この記事を読んで皆さんにも身近に感じて、上手に使っていただけたら嬉しいです!
2. アイデアの生成
続いてAI Scientistが新しい「アイディアを生成する仕組み」について担当します。ひろみです。普段自分が新しい研究テーマを考える上で、苦戦することはよくあります。これまで何がわかっていて何がわかっていないのか論文を読み、また異なる点と点を結ぶことで斬新なアイディアを閃くのはなかなか難しいものです。そこで頼りにしたいのがAI Scientistです。AI Scientistは以下の3つの段階を踏まえることで新しいアイディアを生成します。
2-1. まずはアイディアを考える
ChatGPTは、たくさんの情報を使って新しいアイディアを考えます。たとえば「新しい薬の作り方を試してみよう」とか「この機械をこう改良したらどうなるだろう?」というようなことです。
2-2. アイディアが本当に新しいか調べる
ChatGPTがアイディアを思いついたら、今度はそのアイディアが本当に新しいかを調べます。ここで、Semantic Scholar APIの出番です。Sematic scolar APIは研究に関するgoogleのようなものです。キーワードを検索することで、「そのアイディアはすでに他の科学者が試していないか?」を探します。もし誰も試していないアイディアなら、それは「新しいアイディア」ということになります。
2-3. アイディアをもっと良くする
新しいアイディアを見つけたら、次はそのアイディアをもっと良くするために、ChatGPTが考えを整理したり、アイディアを修正したりします。この時、ChatGPTは自分が持っている情報を使って、さらに工夫します。たとえば「この方法を使えばもっと早く結果が出せるかも」といった工夫です。
以上のステップを何度も繰り返すことでアイディアはだんだん洗練されたものになります。AIにしか思いつくことができないアイディアで、新しい科学的発見が行われる未来を創造してみるとどうでしょうか。まだ課題は残っているものの、きっとAIは人類がこれまで明らかにできなかった難題をクリアし、人々の世界をより豊かにするものと私は信じています。
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記事は、後編へ続きます!
後編はこちらから!
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