MIURA,masami

探究および課題探究型学習について、理科教育学(実践研究)の観点から研究しています。 YouTubeチャンネルも開設しています。https://www.youtube.com/channel/UCmy1hw-3JWA_16g6szjuxjA

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マガジン

  • 哲学

    社会・経済・形而上

  • ICT+GIGA

    公立学校におけるICT活用やCOVID-19臨時休校、学級閉鎖時の学校からの発信。および、GIGAスクール構想に関すること。

  • 学ぶこと

    授業、学習、学習動機(動機づけ)、学習科学、教育心理学、心理統計など

  • 理科教育

  • 中学生への言葉

    私が生徒に贈った言葉、学校便り、学年便り、生徒会誌への寄稿。中学生への言葉。

最近の記事

子どもが主体性を身につけるための自己効力感を育むために~「学びの再構築」につながる理科授業~

 私は、現在中学校の校長として勤務しています。  校長職の傍ら、中学理科の実践研究にも携わっています。  実践研究の難しさは、授業のコマの中で、いかに自然事象の不思議さに気づかせ、多少の困難があっても主体的に課題解決できる生徒を育成するために、教師の指導法はどうあるべきかを模索する点です。  公立学校教育現場は、学習指導要領をはじめとする制約があります。そのような制約がある中で、理科教師であれば、何とか「理科が好きな生徒」を育てたいのです。  関連して、学習評価観点のひとつで

    • GIGA2年目の現場雑感

       GIGAスクール構想がはじまって、2年目を迎えた。本稿は2022年9月(令和4年度前期)段階での、主に中学校現場での現状について述べる。 (1)教員用端末貸与の現状  GIGAスクール構想によるICT端末(札幌市はChromebook)運用が開始されて2年目を迎えた。   昨年度早々に生徒用端末配備は完了したものの教員用端末の配備が十分でない学校も多く見られた。この場合、臨時的な対応として既存のWindowsタブレットでのChromeブラウザ運用を行っていた。一方、学校

      • 身近な場所でこその発見~宿泊学習に向けて~

         私は元来旅が好きです。  旅の目的地には色々あります。前人未到の冒険に近い旅もありますし、海を越える旅もあります。  いっぽう、旅の目的と言われたら何と答えるでしょう。  旅は日常からの脱却とか、非日常との出会いという人もいます。  私の場合はどちらかというと新しい出会いとか新しい発見が目的のような気がします。  出会いや発見は、ヒトだったりモノだったり、その時々で違います。  とにかく、自宅からの距離はさほど問題ではなく、しばらく家を離れて違う風景に触れると、何だかい

        • 「新しい時代の学び」

           野外での活動は、実物を見たり触れたりする機会になる。  この直接体験ほど貴重なものはありません。  生物学者レイチェル・カーソンは「『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではない。」と言いました。  学校で学ぶ多くのことは『知る』ことです。テストは『知っている』ことを測定する手段の一つです。では、この『知る』よりも『感じる』ことが大切というのはなぜでしょう。  私たちは、「心を動かされる」とか「感動」という言葉を使います。この原因は『知る』ことですか?『感じる』こ

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        記事

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係11~1人1台端末で育む主体的に学習に取り組む態度~

          《読了6分》  前回は「主体的に学習に取り組む態度」には「①知識及び技能を獲得したり,思考力,判断力,表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組を行おうとしている側面」「②①の粘り強い取組を行う中で,自らの学習を調整しようとする側面」という2つの側面を評価することが求められており、①、②双方の側面を一体的に見取ることも想定することについて述べました。  この場合特に、「自らの学習を調整しようとする側面」と「メタ認知」について、「メタ認知的知識」には、例えば、「課題探

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係11~1人1台端末で育む主体的に学習に取り組む態度~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係10~主体的に学習に取り組む態度の見取り方~

          《読了12分》  前回は、GIGAスクール構想でのタブレット端末活用に関して、「多様な学び方」出現の可能性をいくつか紹介しました。また、タブレット端末導入後、「教師の指示で好ましくない例」として、教師からの一方的な制限や禁止する指導について述べました。さらに、「もしかすると有効な取組になる可能性がある事柄」として、子ども達が様々な使い方や裏技を発見することを教師が参考にしたり、生徒がタブレット端末の使い方を主導したりすることで、教師と生徒が「共に学ぶ」環境を学校内に創出する

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係10~主体的に学習に取り組む態度の見取り方~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係9~授業の考え方自体が変わる~

          《読了8分》  前回は、GIGAスクール構想でのタブレット端末活用に関して、ある中学生の1日を通して述べました。  そして、各学校で異なる教育系アプリケーションを使うよりも、Googleであれば、GoogleWorkSpace(GoogleEducation)系の教育システムなど汎用性の高い端末を活用することが将来的にも適応力のある子どもの育成につながると述べました。  今回は、タブレット端末の活用によって、これまでの授業の考え方が変化する可能性が高いことについて述べま

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係9~授業の考え方自体が変わる~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係8~1人1台端末の授業イメージ~

          《読了8分》  前回は、GIGAスクール構想の導入は、学校現場の教職員に「より効果的な活用」を促すものであり、今まで、ICTを敬遠してきた教員への意識改革を促すものであること。そして、本稿の意図として「端末を活用することで、子どもも伸びて、教師の働き方改革につながる」という、「端末活用が普通になった将来像」を伝えたい。について述べました。  しかしながら、新たな挑戦や改革には、当初の苦労が伴います。それでも、これが「日常」になったとき、「気がついたら楽になった。」という姿を

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係8~1人1台端末の授業イメージ~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係7~そもそもGIGAスクール構想とは~

          《読了6分》  前回は、新学習指導要領での「課題探究的な学習」における主体的な学びに、ICT機器がどのように位置づけられるかについて述べました。  ICT機器のメリットである「検索(検索エンジンGoogle、yahooなど)」「記録、読み取り(QRコード、静止画、動画)」「聞く、聴く(音楽、音声)」「創作(デジタル描画、プログラミング、ワープロ作文、動画編集、画像加工)」「伝える(プレゼンテーション、動画・静止画の配信、オリジナル音声・音楽)」「交流する(メール、SNS、ク

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係7~そもそもGIGAスクール構想とは~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係6 ~GIGAスクール構想での課題探究的な授業とは~

          《読了6分》  本稿は「GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係」のタイトルで連載してきました。読者の中には、「少しもタブレット端末の具体的な活用について述べられていない」ことに気付かれた方がいると存じます。これまでの記事中に「GIGAスクール構想との関連」として、強調文字や脚注を設けているだけで、具体的な活用については記述していませんでした。  これには、理由があります。  GIGAスクール構想のその根底にある理念には、「ICT端末の文具化」があります。  これは、

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係6 ~GIGAスクール構想での課題探究的な授業とは~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係5 ~課題探究的な授業を作る~

          《読了6分》   前回の続き。私が「課題探究的な学習」の授業が上手くいっている状況として、航空機の「オートパイロット」「自動操縦」に喩えました。    これは、「動機付け」がしっかりと根付いて、授業導入からの課題設定が子ども一人一人に内在化された結果、教師の支援が無い状況でも「子どもたちが主体的に学習を進めている状況」のことをいいます。 1  用意するモノ   ・教科書  ・その教科の「札幌市教育課程編成の手引き」 *札幌市の教員のみ  ・その教科の「指導と評価の一

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係5 ~課題探究的な授業を作る~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係4 ~課題探究的な授業の考え方~

          《読了6分》  前回の振り返りを少し。  探究は課題解決のための学習方略の一つですが、特に、高度な探究になると「必ずしも一つの答えではない」ことが出現します。あるいは、最終的には一つの答えに到達したとしても、生徒一人一人が、そこまで辿ってきた道のりは様々だと考えられます。  これが、「探究の過程を振り返る」ことだと考えます。  そうだとすると、「探究の過程」はどのように見取るとよいのでしょう。  今回は、「課題探究的な授業の作り方」として、課題探究的な学習の構成要素につい

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係4 ~課題探究的な授業の考え方~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係3 ~365日の紙飛行機から読み取る課題探究~

          《読了10分》  前回分の振り返りを少々。  新学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」のこと。  「主体的」という言葉には、新たな(あるいは未知の)課題や問題に対して、何とか知りたい、解決したいというような強い動機づけが起点となって、多少の困難があっても学習行動を継続し続けるような学習行動を示すことが多い。  「主体的・対話的で深い学び」は「手段」なのですが、教師が実際の授業展開でどのような具体的な手立てを取るべきかについて学習指導要領にも同各教科の解説にも明確に

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係3 ~365日の紙飛行機から読み取る課題探究~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係2 ~ある中学教師が感じる違和感~

          《読了7分》  前回分の振り返りを少々。  新しい学習指導要領は、「子どもに知識をたくさん獲得させる」ことを目指しているのではなく、「知識をどのように役立てるか」を目指していること。さらには、「(知識という)学習の結果」だけではなくて「(どのように学んだかという)学習の過程」を大切にする。「知識は情報端末を見ればわかる。問題はその知識を他の知識と組み合わせて、総合してなにがわかるのか」とか「色々な場面で適切な見方・考え方を働かせて、課題解決できるような学習方法が汎用的に使え

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係2 ~ある中学教師が感じる違和感~

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係1 ~これからの学びが変わる~

          《読了9分》    まず、次の文章をご一読ください。  「今の子供たちやこれから誕生する子供たちが、成人して社会で活躍する頃には、我が国は厳しい挑戦の時代を迎えていると予想される。生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく、また急速に変化しており、予測が困難な時代となっている。」(中略)  「このような時代にあって、学校教育には、子供たちが様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していくことや、様々な情報を

          GIGAスクール構想と新学習指導要領の関係1 ~これからの学びが変わる~

          眼差しのコンタクト

            多くの制限と制約の中での新入生だから、随分とこれまでとは違う新入生学級担任であった。入学当初はマスクで表情がわからない。    中学校生活への期待は、僅かに目元の緊張感で伝わる。  担任も、このような時期だから、随分気を遣った。これまでは、できなかったら注意してできるまでやらせる。などと鍛える指導があった。それは、もう無い。  学校再開後、徐々に慣れてくると眼差しの中に笑みが見られるようになる。  少しずつ、少しずつ、諸君の本当の姿が見えてきたのは夏休み前あたり。 

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