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【2022年2月号】映画感想メモ(告白、ファンタスティック Mr.FOXなど)

※ 本記事の内容は、あらすじの解説やネタバレを目的としたものではありませんが、感想を述べるため、一部のシーンについて言及することがあります。映画をまだご覧になっていない方は、予めご了承ください。

【1】 桐島、部活やめるってよ(2012)


特に中学生や高校生の時は、学校の中=自分の世界、になりやすい傾向があると思います。映画部が校舎の屋上や端で撮影をする様子は、学生が学校という閉鎖的空間から解放されたい欲求を表現していると思います。最近、僕の出身校の先生が、社会で活躍する社会人を外部講師として学校に招いて講演を頻繁に行い、学生が学校という垣根を越えて学びを得る機会を作る活動をされており、陰ながら応援しています。また、個人的には、前田涼也(俳優:神木隆之介)が途中口にする映画作品は、監督のお気に入りなのかなと思いました。それらの作品を全て観た僕の視点としては、監督の作品に対するリスペクトが、この『桐島、部活やめるってよ』という作品に込められていたと思います。


【2】 告白(2010)


中学生の頃に小説『告白』を読み、10年程経ちました。文字で想像していた情景と、映像で実際にビジュアル化される景色が混ざり合い、なんとも不思議な感覚になりました。本作品は、原作者の湊かなえさん独特の、登場人物それぞれの目線から1つの物語を紡いでいく構成を巧みに表現していると思います。全体的なトーンは揃えて1つの物語をつくりながらも、各場面では登場人物の個性に合わせて表現を少しずつ変えています。あと、教室のシーンのカメラが生徒の目線になっていて、まるで観客が教室にいるような錯覚を作り出すカメラワークも秀逸です。


【3】 ムーンライズ・キングダム(2012)


黄色とピンクを基調とした鮮やかなパステルカラー風の色彩は健在。映画のキーワードとして、「大人になること」があると思います。僕は時々「大人になるとは何か?」という疑問を感じます。成人=大人のように絶対的に人を「大人」と呼ぶ場合、僕は22歳なので間違いなく大人です。一方で、親の下では相対的に「子供」になります。また「一人前の年齢に達した人」という定義も存在しますが、一人前とは一体何なのか?現段階の僕の仮説ですが、大人になるとは「責任を取る」ということかなと思っています。


【4】 新聞記者(2019)


息が止まるような映画とは、まさにこのこと。映画館を出た人たちは、きっとそのラストについて語ることは不可避だったのではないかと思います。一方で、既に論点になっているように、色味による善悪のコントラストがやや極端に強かったのではないかという点については同じことを感じました。観客の僕たちは、俯瞰的な視点を持つことも大切だと感じています。新聞記者を追う作品は海外にも有名なものが多く、直近では2017年に『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』が公開され、大きな反響がありました。


【5】 三度目の殺人(2017)


映画comの記事によると、是枝監督は本作を通して「司法制度の存在そのものを否定するつもりはありませんが、果たして人は人を裁けるのか」という問いを追求したようです。作品全体を通して、裁く側の人間と裁かれる側の人間がシンクロしていることを表現するシーンが多かったように思います。司法とは関係のない事柄についても、日常の人間関係やニュースでみる社会問題において、僕たちは知らず知らずのうちに、自分を裁く側の人間だと決め込んでいないでしょうか。


【6】 ファンタスティック Mr.FOX(2009)


ウェス・アンダーソン監督を語る上で欠かせないストップモーション・アニメの要素。同じ動物の登場人物でも、擬人化されているキャラクターと、されていないキャラクターが混在しているのが不思議。ちなみに、声優はジョージ・クルーニー、メリル・ストリープという超豪華俳優陣なので、そこにも注目です。豊かな色彩は健在で、ストーリーは大人も子どもも楽しむことができる映画なので、春休みの家族団欒にオススメです。次は『犬ヶ島』を観る予定です。


最後に


気づいた方もいらっしゃるかと思いますが、【1】【2】【4】【5】は日本アカデミー賞作品賞受賞作品で、【3】【6】は1月にも紹介したウェス・アンダーソン監督の作品です。

よく「おすすめの映画を教えて欲しい!」というリクエストを友人からいただきます。

作品を個別におすすめすることも可能ですが、僕は「好きな映画の監督作品を一通り観る」ことを勧めています。

同じ監督の作品でも、作品によって監督の癖やパターンがあったり、または違いがあって、とても面白いと思います。


*2022年1月号の記事(チェックお願いします!)



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