【2022年1月号】映画感想メモ(キル・ビル、スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームなど)

※ 本記事の内容は、あらすじの解説やネタバレを目的としたものではありませんが、感想を述べるため、一部のシーンについて言及することがあります。映画をまだご覧になっていない方は、予めご了承ください。

【1】 ファントム・スレッド(2017)


仕立て屋レイノルズの人生を、アルマという1人の女性が仕立てる、そんな皮肉を感じます。夜って「本音」の時間なのかな?本作はアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞しましたが、ただデザインで魅せるだけでなく、衣装をストーリーに編み込んでいく構成が、オートクチュールを舞台とした作品として完璧だなと思います。


【2】 キル・ビル(2003)


ようやく観れた一作。観点は色々ありますが、ストーリー自体は他のタランティーノ監督の作品と比較して分かりやすい方だと思います。映画は往々にして、自分にとっての当たり前を客観視させてくれます。本作でも、制服やアニメ、寿司、刀など徹底して「ジャパン」を客観視させられますが、1つ気になることがあり…。日本って「夜」のイメージが強いですか?洋画で日本が舞台になる時の時刻って、ほとんど夜な気がします。


【3】 わたしは、ダニエル・ブレイク(2016)


失業による貧困や福祉制度などの社会問題を扱った作品。舞台はイギリスですが、日本とも大きく関係しています。厚労省によれば、解雇等見込み労働者数の累積値は12万人を超えています(2月4日時点)。途中にフードバンクのシーンがありますが、あのシーンはまさに、貧困が人間にどれほど深刻なダメージを与えるかを観客に知らせたはずです。


【4】 マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016)


都会の喧騒をバックにひょんなことから人生を大逆転するわけではなく、海辺の静かな閉鎖的空間で、1人の人間が自分の過去、いま、未来とどこまでもリアルに向き合う、大人の作品だと思いました。これまで1,000本以上作品を観た上で、「過去の失敗」と「閉鎖的空間」という組み合わせは普遍的な設定なのかもしれないと思っています。


【5】 ドント・ルック・アップ(2021)


地球の滅亡という人類共通の課題を背景に、どうしてこうも人間は自己中心的な存在なんだ、とある種の絶望を感じる一作。なんて、自分のことを棚に上げていますが、実際あの作品のなかにいたら、どのような立ち回りをしていたのかな…?


【6】 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)


この脚本いつから計画してたの…?だとしたらあの作品も…?と、マーベルのどこまでもファンを大切にし、期待に応える「本気」を感じた一作でした。ちなみに、まだご覧になっていない方は、是非IMAXでの鑑賞をオススメします。スパイダーマンの魅力は、何と言っても広い空間を縦横無尽に使って、自分がまるで飛んでいるように錯覚させる映像美です(余談ですが、『進撃の巨人』における立体機動装置も同じ効果を持っていますね)。今回は別軸で映像美が強みのドクター・ストレンジも加わり、アクションシーンのクオリティが更に上がっています。


【7】 ホテル・ルワンダ(2004)


僕は高校生の時に、フツ族とツチ族の民族対立について学びました。冒頭に、外国の記者が現地の住民に民族対立のきっかけを聞き、その理由に驚くシーンがあります。これは観客の声を代弁しているように見えますが、歴史を学ぶと、対立の原因はそう単純ではないことが分かります。民族対立を防ぐために僕たちにできることは何か、そして民族紛争において諸外国(とりわけ先進国)ができることは何か?という問いを与える作品だと思います。


【8】 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021)


一言、大好きです。本作だと、第1話「確固たる名作」が個人的推しです。ウェス・アンダーソン監督の作品は、レトロなパステルカラーが特徴ですが、メルヘン過ぎず、甘過ぎないのが良いんです。むしろ個人的にはほろ苦いというか、コーヒーと合うというか。2月の映画感想文は、『ムーンライズ・キングダム』や『ファンタスティック Mr.FOX』など、過去作多めです。アパレルのH&Mが、2016年にホリデーコレクションムービーにウェス・アンダーソン監督を起用したのですが、H&Mのセンスには唸ります。


最後に


1月は、他にも7作品ほど(『es[エス]』や『ブルーバレンタイン』、『テルマ&ルイーズ』など)観ましたが、時間がなく今回は全てレビューできませんでした。再度観直して、改めて映画感想文を書こうと思います。

<その他1月に観た作品一覧>
9. オペレーション・フィナーレ
10. テルマ&ルイーズ
11. セルジオ: 世界を救うために戦った男
12. リベリオン
13. es[エス]
14. ミッドサマー
15. ブルーバレンタイン

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