Rêverie
「夢/夢想 Rêverie」は1890年にフランスの作曲家であるクロード・ドビュッシー Claude Debussy が作曲したピアノ独奏曲。ジャズにて演奏されるクラシック曲の一つ。ラリー・クリントン Larry Clintonは「夢想」を元にしたMy Reverieを発表している。またジャンゴ・ラインハルト Django Reinhardtがジャズにアレンジし録音したことからジャズの中でもマヌーシュ・ジャズのスタンダードとなっている。この場合は「ジャンゴズ・ドリーム Django's Dream」とも呼ばれることがある。
売れ線とやりたいこと
しばしばあることだが、生活をするために、本人がやりたいことを最小限あるいはまったく考えずに作られた「売れ線」の曲というものが存在する。こうした作品は必ずしも悪いものではない。この「夢想」もそうした事例の一つだ。ドビュッシー本人は、若い頃に書いた曲であり、メロディや構成などについて納得できないところがあった。それでもこの曲は、ファンタジックで浮遊するような感じなんだけれども、聴きやすいポップなメロディが特徴。その結果、本人が意図するように大衆に受け、非常に人気な曲となった。こうした人気は現在でも続いており、いまでも演奏/録音されている。
録音
Souvenirs de Django Reinhardt (Paris, September 22, 1947)
Hubert Rostaing (Clarinet); Django Reinardt (Guitar); Eugène Vées (Guitar); Emmanuel Soudieux (Bass); Andr Jourdan (Drums)
ジャンゴ・ラインハルトによる夢想解釈の第1弾。ジャンゴはエレキ・ギターを使っており、割と大きめの音でユベール・ロスタンを支えている。
Quintette du Hot Club de France (Rome, April-May 1950)
Andr Ekyan (Clarinet); Raph Schécroun (Piano); Django Reinhardt (Guitar); Alf. Masselier (Bass); Roger Paraboschi (Drums)
ジャンゴ・ラインハルトによる夢想解釈の第2弾。アンドレ・エクヤンがテーマを吹いており、それがまず素敵。またジャンゴのソロは、まさに夢の中のような演奏。こちらの録音の方が完成されており好み。
Fapy Lafertin (Hilversum October 19–21 1990)
Fapy Lafertin (Guitar); Hadi Mouallem (Violin); Flip Krajenbrink (Guitar); Simon Planting (Bass); Onno De Bruijn (Drums);
ファピー・ラファーティンの録音。
Martin Taylor (Pencaitland, 27–29, June, 1994)
Martin Taylor (Acoustic Guitar); Jack Emblow (Accordion); John Goldie (Acoustic Guitar); Alec Dankworth (Bass);
マーティン・テイラーのジャンゴ・トリビュート。優しい演奏でいわゆるジャンゴ・スタイルではなく、マーティン・テイラー流の演奏が展開されている。
Hot Club de Norvege (Paris, 31 August-2 September, 1994)
Jon Larsen (Acoustic Guitar); Per Frydenlund (Rhythm Guitar); Svein Aarbostad (Bass); Finn Hauge (Harmonica);
ヨン・ラーセン率いるノルウェーのホット・クラブ・ド・ノヴェジの録音。フィン・ホージはここではハーモニカを吹いている。
Randy Sandke (NYC, January 17 & 18, 2008)
Randy Sandke (Trumpet, Flugelhorn); Howard Alden (Guitar); Nicki Parrott (Bass); John Riley (Drums); Nicki Parrott (Vocal)
ランディ・サンケの録音。ニッキ・パロットがヴォーカルで参加している。サンケのトランペットも枯れるような音で、またハワード・オルデンのギターがきめ細かく素敵。
Gala Swing Quartet (NOT GIVEN, Released in 2017)
Alexis Desmarais (Guitar); Tom Valdman (Guitar); Alexandre Florentiny (Bass); Ezequiel Celada (Clarinet); Manu Lepine (Guitar); Max Briard (Drums);
フランスで活動しているガラ・スウィング・カルテットの録音。微妙に参加メンバーがわからなかった。
Marcel Loeffler (Strasbourg, Released in 2020)
Marcel Loeffler (Accordion); Cédric Loeffler (Guitar); William Brunard (Bass); Julien Pidancier (Violin)
フランスで活動している盲目のマヌーシュ・アコーディオン奏者マルセル・ロフラーの録音。リーダー公演をはじめノート・マヌーシュでの来日経験もある。ここではジュリアン・ピダンシアが非常に美しいヴァイオリンを弾いており、マルセル・ロフラーのオーケストラのようなアコーディオンも特徴的。後半はロフラーのソロを弾いており、このメロディも幻想的で美しい。
Duved's Transatlantic Five × Tatiana Eva-Marie (Paris, Released in 2020)
Tatiana Eva Marie (Vocals); Duved Dunayevsky (Guitar); Daniel Garlitsky (Violin); Andrea Soria (Rhythm Guitar); Leigh Barker (Bass)
タチアナ・エヴァ=マリーとダヴェッドのトランスアトランティック・ファイヴの録音。CDには収録されておらずYouTubeかFacebookのみでアクセスできる。エヴァ=マリー自身が作詞した歌詞で歌われる。
Tatiana Eva Marie (NOT GIVEN, Released in 2024)
Tatiana Eva Marie (Vocal); Others Unkown
タチアナ・エヴァ=マリー個人名義での録音。素晴らしい録音なのだが、ライブ会場限定のCDでしか参加するメンバーを見ることができない。
参考文献
https://www.piano.or.jp/report/01cmp/knk_dbsy/2008/07/04_4383.html