Harlem Strut
「ハーレム・ストラット Harlem Strut」は1921年にジャイムズ・P・ジョンソン James P Johnson が作曲したジャズ・ナンバー。
カロライナ・シャウトの後継
ジャイムズPにとっては最初にシングルの録音をした曲(「カロライナ・シャウト」はピアノ・ロールで発表)。史上初の黒人が運営したブラックスワン・レーベル Black Swanから発表された。ここで興味深いのは、「カロライナ・シャウト」がカロライナの流行を音楽で表現したのに対し、「ハーレム・ストラット」はアメリカの黒人教会のリングシャウトから影響を受けているところだろう。リングシャウトとは教会で行われている儀式で、参拝者たちが円になって熱狂的に聖書の言葉や信仰を叫ぶことを指す。こうしたリングシャウトからの影響はストライド・ピアノとして聴くことができる。
「ハーレム・ストラット」はジャイムズPの下の世代であるファッツ・ウォーラーやデューク・エリントンはもちろんのこと、アール・ハインズ、アート・テイタムなどのストライドの名手のみならず、最近ではエメット・コーエンにも多大な影響を与えている。
録音
James P Johnson (NYC, October 8, 1921)
James P Johnson (Piano)
記念すべき初録音。私としてはジェイムズPの曲の中ではもっとも好きな曲のひとつ。ストライドの反復が大変気持ちよく高揚感のある録音。
The Lovestruck Balladeers (NYC, Released in 2020)
Jake Sanders (Guitar); Aaron Jonah Lewis (Violin, Banjo); Dennis Lichtman (Clarinet, Mandolin, Violin); Sean Cronin (Bass); Dalton Ridenhour (Piano)
ラブストラック・バラディアーズの録音。ダルトン・ライデンアワーの美しいストライドが素敵で、そこにジェイク・サンダースのギター、ショーン・クロウニンのベース、デニス・リックマンのマンドリンが重なり、その上に鳴っているアーロン・ジョナ・ルイスのヴァイオリンがなんとも美しい。
Guillaume Nouaux & The Stride Piano Kings (Paris, Released in 2020)
Bernd Lhotzky (Piano); Guillaume Nouaux (Drums)
フランスを代表するスーパースウィンギンドラマーのギョーム・ヌオーのプロジェクト。今回はドイツのストライドの名手ベルント・ロツキーとのデュオ。ドライブ感が半端ない!
参考文献
Scott E. Brown (2020). “Harlem Strut”--James P. Johnson (1921). the National Registry. https://www.loc.gov/static/programs/national-recording-preservation-board/documents/Harlem-Strut_Brown.pdf (Retrieved on 3 August, 2024)
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