Flèche d'Or
「フレッシュ・ドール Flèche d'Or」は1952年にジャンゴ・ラインハルトが作曲したジャズ・ナンバー。タイトルを日本語に訳すと「黄金の矢」になる。後期ジャンゴを代表するビバップ・ナンバー。
黄金の矢
かつてロンドンとパリを結ぶ列車に「黄金の矢」というものがあった。その列車の呼び方がイギリス側ではGolden Arrowで、フランス側はFlèche d'Orだった。当初は一等車のみの上客向けのみであったが、1950年以降に一般にも開放された。だから、ジャンゴがこの曲を書いたときには、黄金の矢は誰でも自由に乗ることができる列車だった。
前述した通りのビバップ・ナンバーで、とくにディジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーから影響を受けた変拍子が特徴的なワンコードの曲。
録音
Django Reinhardt et son Quintette (Paris, January 30, 1952)
Roger Guérin (Trumpet); Hubert Fol (Alto Saxophone); Raymond Fol (Piano); Django Reinhardt (Guitar); Barney Spieler (Bass); Pierre Lemarchand (Drums);
ジャンゴの録音。キメがロックっぽかったり、ソロの入りがチョーキングであったりとロックの方法論を先取りしているようにも思える。ビバップが世代闘争であったことを踏まえると、こうしたジャンゴの方向性はそうした世代闘争に争っていたようにも聴こえる。
Albert Bello & Oriol Saña (Montoliu de Segarra, Released 2014)
Albert Bello (Guitar); Oriol Saña (Violin); Vivien García (Guitar); Queralt Camps (Bass)
スペイン、カタルーニャを代表するアルベルト・ベロとオリオル・サニャのデュオ。おそらくこの曲にかんしてはもっとも聴きやすい部類の録音。爆発的なヴァイオリンを聴くことができる。かっこいい。
Chris Cretella & Brian Slattery (New Haven, Released in 2022)
Chris Cretella (Guitar); Brian Slattery (Violin)
コネチカットで活動しているクリス・クレステラとブライアン・スラッタリーのデュオ。難解なハーモナイゼーションをしている。列車の疾走感はあまりない。
Gabe Terracciano (NYC, May 19, 2019)
Gabe Terracciano (Violin); Josh Dunn (Guitar); Ian Hutchison (Bass)
ゲイブ・テラッチャーノの録音。ストリングス・トリオのこの編成でのビバップっぽい音楽はあまり聴かないので新鮮に感じる。かっこいい。