If You Can't Smile And Say Yes (Please Don't Cry And Say No)
「イフ・ユー・キャント・スマイル・アンド・セイ・イエス 」は1944年にティミー・ロジャース Timmie Rogersとルイ・ジョーダン Louis Jordan が作詞作曲したポピュラーソング。ジャンプ・ブルース、ジャイヴ、ジャズで演奏される。
自分勝手な男の曲
Aメロから「おれが準備できてるときは、ちゃんとキスしてくれ!笑顔でイエスと言えないなら、泣いてノーと言わないで」と歌われる。ここらへんで「おや?」となるが、察しの通り、歌詞の主人公は自分勝手だ。現代には合わない歌詞のジャズは多数があるが、とくにこの曲は《男性が女性に対して抑圧的》に聴こえ、その点において注意深くなってもよいだろう。とくに《男性》と《女性》を対立的に描いているだけではなく、世相もあるとは思うが、女性を戦争時における配給制度と同列に語られる、という点でも際どい。
録音
The King Cole Trio (LA, November 30, 1943)
Nat King Cole (Piano, Vocal); Oscar Moore (Guitar); Johnny Miller, (Bass)
この曲の初録音。ナット・コール・トリオの最盛期の録音の一つ。スローなテンポでナット・コールのピアノのかっこよさも際立つ。この曲はヒットすることとなった。
Louis Jordan And His Tympany Five (LA, June 9, 1944)
Eddie Roane (Trumpet); Louis Jordan (Alto Saxophone, Vocal); Arnold Thomas (Piano); Jesse Simpkins (Bass); Slick Jones (Drums)
ルイ・ジョーダンはこの曲をシングル用に録音することがなかったが、40年代のサウンディーズというジュークボックス用の3分映画のために録音/録画している。以下のジャズの映像の蒐集家のマーク・カンター Mark Cantorのサイトから当時の映像にアクセスすることができる。
The Nat King Cole Trio (Milwaukee, Wisconsin, September 22, 1946)
Nat King Cole (Piano, Vocals); Oscar Moore (Guitar); Johnny Miller (Bass)
ナット・コールのライブ実況録音。スタジオ録音よりもジョニー・ミラーのベースの2ビートのリズムが効いている。ライブの方が断然にかっこいい。
Timmie Rogers (NOT GIVEN, Released in 1967)
Timmie Rogers (Vocal); Sy Oliver (Arrangements); Others Unknown
作曲者ティミー・ロジャースの録音。録音に参加したメンバーや録音時期・場所がわからなかった。コメディアンとしても活動していたロジャースはとくに「オー!イエーイ! Oh Yeah!」というフレーズで人気になった。
Swamp Kitchen (NOT GIVEN, Released in 2014)
Joe Braun (Saxophone, Vocals); Chris Johnson (Clarinet, Saxophone); Nik Snyder (Banjo, Vocals); Molly Reeves (Guitar, Vocals); Branden Lewis (Trumpet, Vocals); Kellen Garcia (Double Bass); Lawrence Batiste (Snare Drum); Robin Rapuzzi (Washboard, Drums)
アメリカ西海岸で活動していたスワンプ・キッチンの録音。モーリー・リーヴスも参加していたバンド。
Fats & Fats with Takman Rhythm (Osaka, April 13, 2022)
Atsushi "Little Fats" (Vocal); Hajime "Big Fats" Kobayashi (Piano); Take Nakayama (Guitar); Kohichi Tsutsumishita (Bass)
東と西のスウィング・デュオの共演。この曲ではもっとも好きな録音で一番よく聴いている。最高にかっこいい。