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I'm Confessin' (That I Love You)
「コンフェッシン I'm Confessin' (That I Love You)」は、1930年にクリス・スミス Chris Smithが作曲し、アル・ニーバーグ Al J. Neiburg が作詞したポピュラーソング。ジャズの大スタンダード。
作曲者と作詞者
しばしば作曲者としてドク・ドハーティDoc Daugherty と エリス・レイノルズ Ellis Reynolds がクレジットされることがあるが、これには以下のいきさつがある。
実は、この曲に先立って、1929年に「ルッキン・フォー・アナザー・スウィーティー Lookin' For Another Sweetie」という同じメロディーだが歌詞が異なる曲が発表される。この時の歌詞はスターリング・グラント Sterling Grantだった。ファッツ・ウォーラーが録音したのだが、ヒットに至ることはなかった。
現在の歌詞になったのは前述の通り1930年。歌詞も大幅に書き換えられる。この時の作詞者がアル・ニーバーグで、その時にクレジットされた作曲者がドク・ドハーティとエリス・レイノルズだった。なんでこの2人が作曲者としてクレジットされたのか、そのことの理由は手許の資料ではわからなかった。が、おそらく版権を取得したときに加えられたのは間違いない。メロディーに鑑みても二人が作曲に貢献しているわけではなさそう。
告白
しばしば「告白」という訳が与えられるが、このconfessという表現は日本語の「告白」よりは強い意味が担われているように思う。つまりconfessとは「懺悔」という意味も担っているように、心に隠しておきたいことを打ち明ける、弱い自分を曝け出す、というニュアンスがある。これを踏まえて歌詞を読むと歌詞の主人公の気持ちがよくわかる。
I'm confessin' that I love you
僕は君を愛していると打ち明けるよ
Tell me, do you love me too?
教えてくれないかい、君も僕を愛してるのか?
I'm confessin' that I need you
僕は君が必要だと心から打ち明けるよ
Honest I do, need you every moment
本当にそうなんだ、一瞬たりとも君が必要なんだ
この2連目なんかまさに主人公の「弱さ」が明らかになっているように聞こえる。2つ目のAメロはもっとこの「弱さ」が全面に出ている
In your eyes I read such strange things
君の瞳には不思議な気持ちが映っているけれど
But your lips deny they're true
君の唇はそれを否定している
Will your answer really change things
その答えが本当に変わってしまうのだろうか
Making me blue?
僕を悲しませてしまうような
自分が十代だった頃は似たような気持ちになっていたように思う。他者に自分の気持ちを投影しすぎないことが大人になる、ということであれば、まさに若者の不安や弱さがうまく描かれているように思う。こうした「弱さ」からくる恐怖はBメロで爆発する。
I'm afraid some day you'll leave me
いつか君が僕を置いていくんじゃないかと恐れている
Saying, "Can't we still be friends?"
「友達のままでいられない?」なんて言って
If you go, you know you'll grieve me
でも君がいなくなったら、僕はきっと心が張り裂けるだろう
All in life on you depends
僕の人生はすべて君次第なんだ
人に人生を委ねたくなるくらい相手が好きで、自分の心の弱さを全面に出している。ちょっとナヨナヨしているけど、そういう気持ちっていうのはおそらく誰でもあったと思う。そうした記憶を思い起こさせる曲と言えるだろう。
録音
Quintette Du Hot Club de France (Paris, March 5, 1935)
Stéphane Grappelli (violin); Django Reinhardt (Guitar); Roger Chaput (Guitar); Joseph Reinhardt (Guitar)l; Louis Vola (Bass); Jerry Mengo - vo;
QHCFの録音。グラッペリがテーマを弾いており、またソロがとんでもなく美しい。そこから続くジャンゴのソロがブルージー。名演!
Red Norvo And His Orchestra (Chicago, April 5, 1944)
Red Norvo (Xlylophone); Stuff Smith (Violin); Remo Palmieri (Guitar); Clyde Lombardi (Bass);
スタッフ・スミスが参加してレッド・ノーヴォの録音。40年代のスタッフ・スミスはそこまで好きじゃないんだけど、これが本当に素晴らしい。というかバンド全体が本当にいい。とんでもない名演。
Johnny Gimble (Dallas, Texas, October 10-12, 1979)
Johnny Gimble (Fiddle, Mandolin); Marvin “Smokey” Montgomery (Banjo); Jerry Gimble (Bass); Bill Mounce (Drums); William Muryel “Zeke” Campbell (Guitar); J.R. Chatwell (Piano, Vocal); James D. “Deacon” Anderson (Steel Guitar)
テキサス・スウィングの英雄ジョニー・ギンブルの録音。スウィングしまくる名演。
Latcho Drom (Montauban, December 2, 1993)
Christophe Lartilleux (Guitar); Charles Roman (Violin); Jean-François Ruiz (Rhythm Guitar); Joël Trolonge (Bass)
ラッチョ・ドロームの録音。最初のアルバムからのテイク。
John Pizzarelli (NYC, Released in 1993)
John Pizzarelli (Vocals, Guitar); Ken Levinsky (Piano); Bucky Pizzarelli (Guitar, Arrangement); Martin Pizzarelli (Double Bass); Clark Terry (Trumpet, Flugelhorn); Harry Allen (Tenor Saxophone)
ジョン・ピザレリの録音。かなり落ち着いた録音なんだけどところどころで非常にブルージー。このくらいの録音からかなりヴォーカルが冴えているように思う。よきよき!
Latcho Drom (Madrid, June 25, 27–28, 1997)
Christophe Lartilleux (Guitar); Malik Richeux (Violin); Alain Hakoun (Rhythm Guitar); Joël Trolonge (Bass)
ラッチョ・ドロームのマドリードでのライブ実況録音。
Lizz Wright (NYC, October 27–November 01, 2004)
Lizz Wright (Vocal); Chris Bruce (Guitar); David Piltch (Bass); Earl Harvin (Drums); Glenn Patscha (Keyboards, Backing Vocal)
ニューヨークで活動しているR&B/ジャズ・シンガーのリズ・ライトの録音。現代的なアレンジがかっこいい。ジャケットのデザインが日本人アーティストのRika Ichikaさん。透き通るようなデザインが非常にかっこいい。
Ken Peplowski Gypsy Jazz Band (NYC, November 23–24, 2007)
Ken Peplowski (Tenor Saxophone, Clarinet); Bucky Pizzarelli (Guitar); Howard Alden (Guitar); Frank Tate (Bass); Chuck Redd (Drums)
日本でもお馴染みのケン・ペプロウスキーの録音。タイトなマヌーシュ・ジャズのアレンジ。
Alex Pangman (Toronto, ON, 2010/2012)
Alex Pangman (Vocals); Drew Jurecka (Violin); Bucky Pizzarelli (Guitar); Michael Herring (Bass);
カナダのスウィート・ハート、アレックス・パングマンの録音。ギターにバッキー・ピザレリが参加しておりバッキングのみならずソロも披露している。聴きどころはその後のテンポが速くなるところ。アレンジもかっこよく素敵!
Hot Club of Cowtown (Dipping Springs, Texas July 6 2012)
Elana James (Vocal, Fiddle); Whit Smith (Guitar, Vocal); Jake Erwin (Bass)
HCCTの録音。テキサス・スウィングのカラっとしていてこれも素敵。なんといってもジャイク・アーウィンがバンドを引っ張っており、最初のアルコもそのあとも素晴らしい。
Viper Mad Trio (New Orleans, 2013)
Molly Reeves (Vocals, Guitar); Kellen Garcia (Bass); Ryan Robertson (Trumpet)
モーリー・リーヴス率いるヴァイパー・マッド・トリオの録音。かなり優しい歌い方が素敵で、さらに絞り出すようなトランペットが素晴らしい。
Andy MacDonald (Montreal, September 9–10, 2018)
Andy MacDonald (Guitar & Voice); Aurelien Tomasi (Clarinet); Guillaume St-Pierre (Rhythm Guitar); Brenn Dalle (Violin); Sage Reynolds (Bass)
カナダで活動しているアンディー・マクドナルドの録音。マヌーシュ・ジャズをベースにメリハリのある演奏を展開している。
Jonathan Stout's Close Shave Quartet (California, Released in 2021)
Jonathan Stout (leader and electric guitar); Craig Fundyga (vibraphone); Seth Ford-Young (bass); Josh Collazo (drums)
西海岸を代表するスウィング・ミュージシャンが参加したライブ実況録音。ソロ・ギター。
Les Violons De Bruxelles (NOT GIVEN, Released in 2021)
Tcha Limberger (Violinm Vocal); Renaud Crols (Violin); Alexandre Tripodi (Viola); Renaud Dardenne (Guitar); Sam Gerstmans (Contrebass)
チャ・リンバーガー率いるレ・ヴィオロン・ドゥ・ブリュッセルの録音。歌いたがりのチャが歌うだけではなく、口トランペットも披露している。重厚なアレンジも素敵。
Adrien Tarraga Quartet (NOT GIVEN, Released in 2023)
Adrien Tarraga (Guitar); Bastien Ribot (Violin); Benji Winterstein (Guitar); Edouard Pennes (Doublebass)
フランスのマヌーシュ・ジャズ界を引っ張る若手の録音。めちゃくちゃ美しい。
Tijn Trommelen (NOT GIVEN, Released in 2024)
北欧のスウィング・スターのタイン・トロメレンの録音。参加メンバーがわからなかったんだけど、トランペットはおそらくティモ・ニストゥロクだと思う。
Chris Hopkins meets the Young Lions (NOT GIVEN, Released in 2024)
Chris Hopkins (piano); Thimo Niesterok (trumpet); Tijn Trommelen (guitar, vocal); Caris Hermes (bass); Mathieu Clement (drums)
クリス・ホプキンスが若手と行ったライブ実況録音。さすがドイツのジャズ・ピアノ界の前田日明的存在。存分にヤング・ライオンの実力を引き出してスウィングしている。めっちゃかっこいい!
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