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Ain’t She Sweet

「エイント・シー・スウィート Ain’t She Sweet」は1927年に発表されたミルトン・エイガー(Milton Ager)作曲、ジャック・イェレン(Jack Yellen)作詞のダンス・ナンバー。ダンスボールで爆発的に流行し、その結果「ジャズ・エイジ」を代表する一曲となった。トラッドジャズ・スタンダート。

ダンス会場でヒットした曲

この曲は「フラッパー・ソング Flapper Song」と呼ばれている (Furita & Lassar, 2006, p.54)。ここでいう「フラッパー」とは、まさに20年代の女性たちのあいだで流行ったファッションのこと。そういったファッションは、服装や見てくれだけではなく、ふるまい方や好みなども含まれる。ステレオタイプ的には自由な恋愛や性に対する奔放さが強調される。ちょうど『華麗なるギャツビー』にて描かれるようなそう言ったセクシーな女性。

1921年に撮影された有名になる前のクララ・ボウClara Bow。かっこいい。

歌詞の内容はと言うと、まさにそういった女性に出会った男性をうまく描写している。「見ろよ!あの子、可愛くない?あの目、めっちゃきれい!まじ美人!」という内容。当時の若者たちは、この曲を聴きながら声をかけたりしていたのだろうか。そういったクラブ文化に繋がる社交と出会いの場を作り上げる装置としての音楽が思い浮かびますね。

録音

Annette Hanshaw (NYC January 28, 1927)
Annette Handshaw (Vocal); Irving Brodsky(Piano)
ピアノとボーカルのシンプルなデュオで録音をしているアネット・ハンショウの録音。20年代30年代に大流行したシンガー。ほかの録音のアレンジや歌い方の模範になっている。また、この曲は発表された1927年だけで20回以上吹き込まれた。フラッパーたちにも受けるような当時の最先端のシンガーが録音している。エディ・カンター(Eddie Cantor)の録音もよい。

Miss Rose & Her Rhythm Percolators (Seattle 2008[?])
Sunge Rose (Vocal, Ukulele); Dayton Allemann (Piano); Mark Bentz (Cornet); Ericka Kendall (Bass);Paul Anastasio (Violin)
シアトルで活動していたトラッド・ジャズ・バンドのMiss Rose & Her Rhythm Percolatorsの録音。下敷きにしているのはアネット・ハンショウの録音だけど、少しテンポを落としている。歌詞を"Ain't he sweet"と変えている。歌もバイオリンもかっこいいし、とても好きな録音。CD BabyでももうCDが売られていないため、入手は結構大変。ちなみにCDに日付の記載はない。

The Art Hodes Quintet (Chicago December 8, 1957)
Art Hodes (Piano); Eddie Burleton (Clarinet); Marty Grosz (Guitar); Truck Parham (Bass); Freddie Kohlman (Drum)
インスト。知る人ぞ知るストライド/ラグタイム・ピアノの雄アート・ホーディスの録音。このアルバムはよく聴いてますね。とっても好き。エディ・バールトンのクラリネットが際立っております。われらがスイング・ギター・ヒーローのマーティ・グロスのギターもめちゃくちゃ気持ちがいい。

Pearl Bailey And Hot Lips Page (NYC June 23 1949)
Hot Lips Page (Vocal), Raymond Tunia (Piano), Tony Mottola (Guitar), Al Hall (Bass), Specs Powell (Drum), Pear Bailey (Vocal)
俳優でシンガーのパール・ベイリーとホット・リップス・ペイジのデュエット。ホット・リップス・ペイジといえばブルージーでジャイヴ感覚のあるトランペットが売りなんだけど、このセッションではトランペットは吹いていない。歌に専念したホット・リップス・ペイジの温かい歌声も素敵。

Roy Smeck (Hollywood[?] 1959[?])
George Barnes (Guitar); Milt Hinton (Bass); Roy Smeck (Ukulele); Osie Johnson (Drums)
弦楽器の魔術師ことロイ・スメックの録音。ウクレレを使ったトラッドジャズのバンドの多くはおそらくある程度はこの録音を意識していると思う。すごいダンサンブル!

Hot Swing Sextet (Bordeaux, France, 2015)
Thibaud Bonté (Trumpet); Bertrand Tessier(Tenor Sax); Erwann Muller (Guitar); Ludovic Langlade (Guitar); Franck Richard (Bass); Jericho Ballan (Drum)
Hot Swing Sextetはジャンゴ・スタイル + スイング という組み合わせでインストを録音。リズムがいいですね。胸が高鳴ります。
ほかにもいい録音があるけど一旦ここまで。

参考文献

Furia, Phillip & Lasser, Michael. (2006). America’s songs: The stories behind the songs of Broadway, Hollywood, and Tin Pan Alley. London: Taylor and Francis.

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