Afternoon in Paris/Un Apres-Midi A Paris (パリの午後)
Modern Jazz Quartetの創始者のジョン・ルイス(John Lewis)が1949年に作曲したインスト曲。持っていないけれど黒本の一曲目らしい。インストの曲だけど、歌のバージョンもある。クレモンティーヌ(Clementine)はフランス語で歌っている。クレモンティーヌの母親のマルセラ・ミッツ(Marcela Mitz)が作詞。アニータ・オデイ(Anita O'Day)は自身で考えた歌詞で英語で歌っている。
記憶のなかのパリ
Modern Jazz Quartetの結成が1952年なのでバンド結成前に書かれた作品となる。ルイスの生活史に照らし合わせて考えてみると、この曲が書かれたのは、ルイスが、ニューヨークでエラ・フィッツジェラルドやチャーリー・パーカー、マイルス・デイヴィスのバンドでピアノを弾いていた時期ということになる。そんなわけでこの曲はパリとは直接的に関係がなさそう。ただ、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)のビバップ・ビッグ・バンドに1948年まで在籍していたし、1948年にガレスピー楽団はヨーロッパ・ツアーをしていたので、ジョン・ルイスは確実にパリの午後を楽しんだはず(ちなみにディジー・ガレスピーのバンドを抜けるきっかけになったのは、件のヨーロッパ・ツアー中にマイルス・デイヴィスから「クールの誕生 Birth of Cool」のセッションの誘いがあったことだったと言われている)。
録音
いくつか録音があるけどせっかくなのでスイングしていて、フレンチ・ジャズに関係がある録音を挙げておきたい。ただ、以下の録音はどれもフランスで録音されたものではない。
Stephane Grappelli (Villingen-Schwenningen March 1971)
Stéphane Grappelli (Violin); Eberhard Weber (Bass); Kenny Clare (Drums); Marc Hemmeler (Piano)
この曲では間違いなく一番好きな録音でこの曲を知るきっかけとなった録音。グラッペリのバイオリンがとにかく美しくてヘブン状態である。
Wawau Adler (Ludwigsburg-Eglosheim 2010)
Joel Locher (Bass); Wawau Adler (Guitar); Mano Guttenberger (Rhythm Guitar)
ロマのギタリスト、ワワウ・アドラーのトリオの録音。超絶系じゃなくて、アレンジとソロで素敵に聴かせてくれる録音。とっても好き。
Tim Kliphuis (London 2006)
Tim Kluphuis (Violin); James Pearson (Piano)
グラッペリ・スタイルのバイオリンの伝導者のティム・クリップハウスの録音も素晴らしい。ピアノとバイオリンというシンプルな構成だからずーっと聴ける。いやー美しい!大好きな録音。
ほかにもマヌーシュ・ジャズのスタイルだとSwing from Parisの録音がある。あとモダン・ジャズ系のアレンジだとクリスチャン・エスクード(Christian Escoude)の録音もあるけど少しややこしい。それはそうとジョン・ルイス自身のピアノ・ソロの録音もよかった。