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Indifférence

「アンディフェランス/インディファレンス Indifférence」は、1942年にミュゼットのアコーディオン奏者のトニー・ミュレナ Tony Murena とジョゼフ・コロンボ Joseph Colombo によって書かれたミュゼット・ワルツ(フレンチ・ワルツ)。この曲はトニー・ミュレナの代表曲にもなっている。また”indifference”は英語でもフランス語でも「無関心」という意味。「つれなさ」とも呼ばれる場合がある。ミュゼットはもちろんのこと、マヌーシュ・ジャズやフレンチ・ジャズのスタンダードとなっている。

トニー・ミュレナはバル・ミュゼットの大家。ほかのフランスのミュージシャンと同様に、やはりジャズから影響を受けており、この曲もスイング・ワルツになっている。こうしたフランスのミュゼットとジャズの両方の功績から「スイング・ジャズ・ミュゼット・パリジャン」と呼ばれる。

録音

Tony Murena et son Ensamble Swing (Paris May 30 1942)
Antonio "Tony" Muréna (Accordion); Pierre "Baro" (Guitar); Etienne "Sarane" Ferret (Guitar); Jacques Petitsigne (Bass)
原点。トニー・ミュレナの最初の録音。アコーディオン・ヒーローの雄弁な演奏。

Baguette Quartette (San Francisco, 1995)
Odile Lavault (Chromatic Button Accordion); Rachel Durling (Violin); Olivier Zyngier (Guitar, Mandolin); Rich Trevor (Bass)
サンフランシスコを代表するミュゼット・バンドのバゲット・カルテットの録音。

MAM (Paris, May 23–June 5, 1997)
François Michaud (Violin); Viviane Arnoux (Accordion); Olivier Marc (Drums, Percussion); 
フランスのミュゼット・トリオのマムの録音。非常に白熱した演奏でダイナミクスが非常に美しい。

Didier Lockwood & Marcel Azzola (Paris 2006)
Marcel Azzola (Accordion); Contrabass (Jean-Philippe Viret); Guitar (Martin Taylor); Didier Lockwood (Violin)
ディディエ・ロックウッドはマルセル・アゾーラと録音している。またこの録音に参加しているマーティン・テイラーとジャン=フィリップ・ヴァレはグラッペリのバンドにいたメンバー。もしグラッペリがミュゼットをしたらこんな風になるのか、という妄想が生まれる。

Les doigts de l'homme (Paris 2010)
Olivier Kikteff (guitar); Benoît Convert (guitar); Yannick Alcocer (guitar); Tanguy Blum (basse)
レ・ドゥワ・ドゥ・オムの録音も素晴らしい。ギターでどこまでアコーディオンの世界を表現するのかを3人のギターとベースが挑戦している。アンサンブル・ハーモニーという点で刺さる。

Les mouches de Paname (NOT GIVEN, Released in 2014)
Loic Devillers (Guitar); Benjamin Moquet (Guitar); Aurélien Prévost (Guitar); Daniel Diaz (Bass); Diane Conrad (Violin); Unkown (Clarinet)
レ・ムーシュ・ド・パナームの録音。現在では活動しておらずCDも購入できずメンバーの詳細がわからない。このメンバーもわかった範囲のメンバーなので実際の参加メンバーは異なる可能性がある。クラリネット、ヴァイオリン、ギターがリードを取っている。静かに始まるイントロから非常にかっこいい。

Daniel Colin avec Mathilde Febrer (Paris, December 2015)
Daniel Colin (Accordion); Mathilde Febrer (Violin); Dominique Cravic (Guitar); Jean-Philippe Viret (Bass)
これを聴いてアンディフェランスがを知り好きになった。マティルド・フェブレールはピエール・ブランシャールの教え子で、さらにピエール・ブランシャールはグラッペリの教え子。フランス・ジャズ・バイオリンの系譜が見えるようですね。ダニエル・コランは現在のミュゼットを代表するアコーディオン奏者。どの音域もしっかり芯を食っていて聞き応えがあるのにさわやか。とくにバイオリンとの掛け合いが美しい。フランスを代表するギタリストのドミニック・クラヴィクのギターの音色も演奏もバンドを支えていて、ジャン=フィリップ・ヴァレのベースも的確にスイングさせている。曲が終わるとすぐにもう一度聴きたくなる演奏。

Valinor Quartet (NOT GIVEN, Released in 2016)
Ben Powell (Violin); Sergei Teleshev (Accordion); Slava Tolstoy (Guitar); Greg Feingold (Bass)
多国籍ユニットのヴァリノー・カルテットの録音。さすがベン・パウエルといったヴァイオリンで、セルゲイ・テレシェヴとの掛け合いが素晴らしい。

The Black Market Trust (Apple Valley, Released in 2017)
Jeffrey Scott Radaich (Guitar); Nick Coventry (Violin); Brian Netzley (Bass); Brandon Laws (Drums); Chris Irwin (Guitar)
ジェフリー・スコット・ラダイチ率いるブラック・マーケット・トラストの録音。

The Tangiers Combo (New Orleans, December 2019)
Carl Keith (Guitar); Eric Rodriguez (Violin); Simon Moushabeck (Accordion); Jason Danti (Clarinet); Nathan Lambertson (Bass)
ニューオーリンズで活動しているミュゼット・バンドのタンジアーズ・コンボの録音。

Marta Sierra (Barcelona or Les Sables d'Olonne, 2020)
Marta Sierra (Violin); Maxime Bousquet (Guitar); Stuart Grant (Double Bass);
バルセロナを代表するジャズ・バイオリニストの一人であるマルタ・シエラの録音。太くて艶やかなヴァイオリンが非常に素敵。


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