As Long As I Live
「アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ As Long As I Live」は、ハロルド・アーレン (Harold Arlen)作曲、テッド・ケーラー (Ted Koehler)作詞の1934年の曲。コンビとしては最後の曲 (Jasen, 2003, P. 12)。明るいメロディーのロマンチックな曲。
ニューヨークのハーレムに1923年から1940年まであった「コットンクラブ」という高級ナイトクラブがあった。「コットン」という名前が指し示すように黒人が出演し、観客は白人であった。当時このコットンクラブではレヴューが大変評判でそうした出し物は「コットンクラブ・パレード Cotton Club Parade」と呼ばれていた。この曲は1934年3月24日に行われた『コットンクラブ・パレード 1934 Cotton Club Parade 1934』にてお披露目された。このレヴューは史上もっとも豪華であったとされる。
歌詞は「人生は短い。だからこそ生きている間は君のことを精一杯愛するよ。ダイヤモンドも買えないかもしれないけど、生きている限り全力で愛すよ。運命はわからないし、もしかしたら病気になるかもしれない。だからこそ生きているうちは君を本当に愛したい」というロマンチックな歌詞。“I Can’t Give You Anything But Love”にも通じるような歌詞だけど、こちらは限られた時間のなかでのふるまい方を提示しているという点で異なる。
録音
Benny Goodman Orchestra (New York, May 14, 1934)
Benny Goodman (Clarinet); Hank Ross (Tenor Saxophone); Jack Teagarden (Trombone, Vocals); Charlie Teagarden (Trumpet); George Thow (Trumpet); Teddy Wilson (Piano); Benny Martel (Guitar); Harry Goodman (Bass); Ray McKinley (Drums)
ベニー・グッドマン楽団の録音。ジャック・ティーガーデンがボーカルをとっている。ここで聴けるテディ・ウィルソンのソロが美しい。
Spirits of Rhythm (NYC, September 11, 1934)
Red McKenzie (Vocal); Leo Watson (Guitar); Teddy Bunn (Guitar); Douglas Daniels (Guitar); Wilbur Daniels (Guitar); Wilson Myers (Bass);Virgil Scoggins (Drums)
ジャイヴ・コーラス・グループのスピリッツ・オブ・リズムの録音。演奏もコーラスも非常にかっこいい。
Barbara Lea (NYC March 15/16 1955)
Barbara Lea (Vocals); Johnny WIndhurst (Trumpet); Billy Taylor (Piano); Jimmy Shirley (Guitar); Percy Brice (Drums); Earl May (Bass)
そつのない録音と批判されることがあるんだけど、やはりバーバラ・リーの歌はブルージーでかっこいい。それとビリー・テイラーのイントロがかっこいい。
Earl Hines (New York March 23 1974)
Earl Hines (Piano)
巨匠アール・ハインズによる迫力のあるソロ・ピアノの演奏。すごいダイナミックでこれを生で聴いたらどうなってしまうんだろうという録音。
Catherine Russell (NYC, October 5, 2009)
Catherine Russell (Vocals); Mark Shane (Piano); Lee Hudson (Bass); Matt Munisteri (Guitar);
ニューオーリンズにルーツを持つ素敵シンガーのキャサリン・ラッセルの録音は落ち着いていて歌が沁みる。演奏はギター、ピアノ、ベースのシンプルなトリオなんだけどとても力強い。
Jonathan Stout and His Campus Five (Sarasota, 2017)
Jonathan Stout (guitar); Hilary Alexander (vocals); Albert Alva (tenor saxophone); Jim Ziegler (trumpet); Christopher Dawson (piano); Wally Hersom (bass); Josh Collazo (drums)
グッドマンを基調にした録音。ジョナサン・スタウトのファンとしては推したい録音。録音はジャズのレコーディング、テレビや映画などのスタジオ録音に長く携わっているディック・ハミルトンによるもの。
Chelsea Reed (Philadelphia, April 2017)
Chelsea Reed (Vocals); Wycliffe Gordon (Trombone); Chris Oatts (Alto Saxophone); Jake Kelberman (Guitar); Silas Irvine (Piano); Joe Plowman (Bass); Austin Wagner (Drums)
フィラデルフィアでモダンスイング・バンドを展開しているチェルシー・リードの録音。ベースのジョー・プロウマンはスラム・スチュワートのフォロワーで、マーティ・グロスとも共演している。それとやはりワイクリフ・ゴードンの演奏が素晴らしい!
Rebirth::Collective (Aartselaar, Belgium 2021)
Tutu Puoane (Vocal); Dree Peremans (trombone & arrangements); Jo Hermans (trumpet); Bruno Vansina (alto sax); Wietse Meys (tenor sax & arrangements); Joppe Bestevaar (baritone sax); Ewout Pierreux (piano & arrangements); Jos Machtel (bass); Matthias De Waele (drums)
ベルギーの音楽集団の録音。まさにモダン・スイングを象徴するかのような音。トラッド・ジャズの曲をコンテンポラリーな感覚でトラッドにアレンジした録音。とくにドラムとベースがとても現代的。かっこいい。
参考文献
Jasen, A, David. (2003). Tin Pan Alley: An Encyclopaedia of the Golden Age of American Song. London: Routledge.
投げ銭箱。頂いたサポートは活動費に使用させていただきます。