見出し画像

Angry

「アングリー Angry」はヘンリー・ブルニーズ(Henry Brunies)、メリット・ブルニーズ (Merritt Brunies)、 ジュール・カサード(Jules Cassard)の3人によって1923年に作曲されたジャズ・スタンダード。1925年にダドリー・メカム(Dudley Mecum)によってヴァースと歌詞が付け加えられる。

恋人の怒り

倫理的にあやうい歌詞。「本当の愛はスムーズにはいかない」というヴァースからはじまり、「ちょいちょい!いじっただけ!別れるなんて冗談だよ!さては本当の愛を知らないな?」と続く。わざわざそんな試すようなことするなよ…。いまだったらハラスメントだし炎上必須。

またヘンリーとメリットのブルニーズは兄弟でともにニューオーリンズ出身。音楽一家の生まれ。のちにシカゴに移りNew Orleans Rhythm Kingsを結成する。ちょうどこの曲はシカゴに移り住んだあとに作られた曲。New Orleans Rhythm Kingsも録音を残している。

シカゴ・スタイル・ジャズの黎明期を担ったNew Orleans Rhythm Kings。いまでいうところのディキシーランド・ジャズのはしりである。

録音

それでもかっこいいメロディでよい録音が結構ある。やはりシカゴ・スタイルの録音が抜きん出ているように思う。
Art Hodes Quintet (Chicago December 8, 1957)
Art Hodes (Piano); Truck Parham (Bass); Eddie Burton (Clarinet); Marty Grosz (Guitar)インストだとこの録音を一番よく聴く。シカゴ・スタイルの伝統を守るかのような演奏。アート・ホーディスのピアノがとてもかわいいし、マーティ・グロスのギターもとてもかっこいい。

New Orleans Rhythm Kings (Chicago March 1923)
Lew Black (Banjo); Steben Brown (Bass); Leon Rappel (Clarinet); Ben Pollack (Drum); Charles Pierce (Piano); Glen Scoville (Saxophone); George Brunies (Trombone); Paul Mars (Trumpet)
おそらくこの曲の初録音。トロンボーンのジョージは作曲者のヘンリーとメリットの兄弟。とってもかっこいい!

Sweet Megg and Ricky Alexander (New York 2021)
Megg Farell (Vocal); Ricky Alexander (clarinet); Mike Davis, (trumpet); Rob Edwards (trombone); Jerron Paxton (banjo);
Dalton Ridenhour (piano); Rob Adkins (bass); Kevin Dorn (drums)
シカゴ・スタイルを受け継いだような演奏。現代のトラッドジャズを代表するシンガーの1人のSweet Meggことメグ・ファレルとクラリネット/サックスのリッキー・アレグザンダーの録音。ヴァースから入る歌物のなかでは一番よく聴く。

いいなと思ったら応援しよう!

しゅみお
投げ銭箱。頂いたサポートは活動費に使用させていただきます。