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TCFDへの取組みの開示を求める株主提案〜ESGの取組みの可視化へ向けて〜

[最新ニュース] #ESG #CSR #気候変動 #環境と人権 #コーポレートガバナンス  

株主総会シーズンが一息つきました。今年は新型コロナの影響でオンラインでの参加が可能になるなど、従来とは異なる開催のあり方が話題になりました。

総会では、事業活動持続に向けた企業の対応も当然問われましたが、ESGの観点で非常に注目を集めたのが、気候ネットワークによるみずほファイナンシャルグループに対する気候変動に関する株主提案です。

「『当会社がパリ協定及び気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同していることに留意し、パリ協定の目標に沿った投資を行うための指標および目標を含む経営戦 略を記載した計画を年次報告書にて開示する。』という条項を、定款に規定する。」(気候ネットワークによる株主提案書より)

結果的に本提案は否決はされたものの、全株主の35%、総額5000億ドルを超える株主が賛同しました。

「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」、略称TCFDは、企業等に対し、気候変動関連リスクと機会に関して、下記の項目について開示することを推奨しています。

ガバナンス(Governance)
どのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。
戦略(Strategy)
短期・中期・長期にわたり、企業経営にどのように影響を与えるか。またそれについてどう考えたか。
リスク管理(Risk Management)
気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか。
指標と目標(Metrics and Targets)
リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか。

TCFDは気候変動を起点とするものですが、既に多くの企業が、人権方針、サステナビリティ方針など、ビジネスと人権、ESGに関する方針を置いています。方針を定めることは、対内外に企業の人権やESG課題への取組み姿勢を示すものとして大きな一歩となります。

しかし、本質的に重要なのは、その方針をどのように企業の経営全体に反映させるか、従業員一人一人の日頃の業務上の判断に埋め込むか、という実行プロセスです。このプロセスの実効性を担保して初めて、方針としての存在意義があると言えます。

「開示レポートを美しく見せかけて、実態が伴っていないグリーンウォッシュの問題がある。また、ESG評価会社が乱立し、同じ企業に全然違う格付けをしているという整合性の問題もある。各社の重視する点が違うので、参考にはなるが、鵜呑みにできない。ESG特化の株価指数にも電力会社が採用されていたりする。まだまだESG投資は過渡期にあり、株価にもゆがみが出やすい」
 企業の取締役会のガバナンスについても「改善しているが、まだ独立社外取締役が少数で、ESGへの理解が乏しい取締役も多い」

今回の気候ネットワークによる提案とそれに賛同した株主の多さは、日本企業に対し、方針を定めたその先の行動へのコミットメントの具体化を強く求めるものです。

従業員やサプライヤーといったステークホルダーの人権尊重を目的とする既存の様々な社内の方針がどのようなインパクトを出しているか、簡単ではないですが、その実効性の評価は企業のガバナンスを強化するためにも重要な視点です。

Social Connection for Human Rights/佐藤暁子


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