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051いい写真とは 2

卒業アルバムと学校写真のエキスパート 一級写真技能士の田賀谷浩です。今回もお目通しいただきありがとうございます。

「いい」の大前提として綺麗に写っている事ではないでしょうか。が、残念なことに撮った写真が綺麗に写っていなかった経験はどなたもおありかと思います。今回からしばらくの回数を使って、デジイチからコンパクトミラーレス、スマホで撮る方でも役に立つ(と一応豪語はしておきましょう(^^))いい写真の撮り方について、大変僭越ではありますが綴ってみたいと思います。

人間の眼とカメラの違い

綺麗に写らない最大の原因はここにあります。ふだん意識することはありませんが人間の眼はものすごく高性能なんです。どう高性能かというとピントを合わせるスピードと補正能力が凄まじい。どれだけ優れているか実例をお示ししてみましょう。

遠くの景色と手元に持つものを交互に見た時にピントがぼけてると実感することはほとんどないと思います。実際には遠くを見ている時は手元はぼけて、手元を見ている時は遠くがぼけているのですが、視線をやるとものすごく高速で見たいところにピントを合わせているのでそう感じないのです。

白い服や紙は昼間に見れば当然白くなっていますが、ロウソクや電球、夕日などのオレンジ色に見える光で照らされていても「白」く見えています。薄暗い部屋で見た場合に実際にはグレーになっているのに「白いもの」と思って見ています。
今回のタイトルピクチャーを見てください。夕日に照らされて半分日陰になっているシャッターの写真です。人間がその場で見たら影があるとは思っても、左側と右側とでここまで色合いが違っているとは思いませんし、明るさもここまで違っているとは感じていない。でもカメラの目はありのままに捉えてしまうのでこう写ってしまうのです。

日向と日陰を意識しよう

しくじりの中でも結構多いのが、「集合写真を撮ったら端の二人が真っ白に写ってしまった」「日陰に立っている人が暗くなってしまった」というような事例ではないでしょうか。

原因はともに日向と日陰の混在になります。
1例目の場合は大半の人が日陰に、端の二人だけ日向に居たケースです。補正能力が高い人間の眼では日向に居る人も日陰に居る人もそれぞれを見る瞬間に同じ明るさに補正をして見ているので明るさに違いを感じにくくなっているのですが、カメラの目はバカ正直なので日陰の人に合わせて写すと日向の人が明るすぎてしまうのです。
2例目は逆のパターンで、日向に居る人に明るさが合ってしまうと日陰の人が暗くなってしまう というわけです。

秋や冬は陽の高さが低い事もあって影がよりきつくなりますから、混在してしまうとよりしくじりやすくなります。

失敗しにくいコツは?

ひとえに「光の当たり具合をなるべく揃えて写す」事に尽きます。
集合写真を撮る時は全員を日向か日陰のどちらかに並べましょう。遠くの山など背景が日向なら人も日向に並べないと、背景が白飛びしてしまうか、人物が黒つぶれしてしまうかします。

タイトルピクチャーでもお分かりいただけるかと思いますが、日向と日陰では色も違ってしまいます。ご覧の通り日陰は日向より青っぽいですよね。背景が日向で人物が日陰だと、背景が黄ばんでしまったり人物が青黒くなってしまったりします。背景が日向なら人物も日向、背景が日陰なら人物も日陰に揃えると全体の色合いが揃うのでより綺麗に見えます。

この時期は顔に強い影が落ちないで済むよう意外と逆光線を多用します。特に紅葉した木の下で撮る場合は木々の葉が光に透けて綺麗に発色しますし、他の背景部が暗くなってコントラストが強くなりますからとても綺麗に写ります。ただしフレアーやゴーストが起きやすくなりますのでレンズ部が日陰になるよう一工夫が必要です。

次回撮影する折には、メインとしたい被写体に光が思うような当たり方をしているか、あるいは画面の中に見えるものの「光の当たり具合」がなるべく揃っているかどうか、意識してみるとより「いい写真」が撮れるかと思います。是非お試しください。
では今回はこの辺りで。最後までお読みいただきありがとうございました。

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