027体験の場を奪わないのは大人の役目
卒業アルバムと学校写真のエキスパート 田賀谷浩です。
いつもご愛読くださりありがとうございます。今回は幼児の行事を通じて思った事を綴ります。
五感で味わう体験の大切さ
日頃お世話になっている幼稚園さんの「ふれあい動物園」を取材しました。移動動物園の方が園に来てくれて、ポニーに乗馬したり、モルモットやうさぎに餌をあげたり、フクロウやトカゲやリクガメを撫でたり、蛇を首に巻いて貰ったり(!)と生き物たちに直に触れる体験をさせるという設えです。
馬の大きさにびびる、急に羽ばたかれて驚く、ふわふわザラザラゴツゴツといった触感の違いを感じる、糞尿や体臭を臭いと思う・・・ 図鑑や絵本、ウェブサイトでは得ることが出来ない五感を駆使しての実体験を幼いうちにしておく事は何物にも代え難いものではないでしょうか。
私たちが子供の頃と比べると、ペットを飼っている子以外は普段の生活で動物は言うに及ばず、蟻やハエなどの虫ですら見かける機会が少なくなりました。自分も動物たちも同じ生き物なんだ、命あるものは世の中に沢山あるんだ、同じように物を食べるんだ、命は大切な物なんだという概念を、直接生き物に触れる事によって自然と得られる経験は、無闇に命を奪わないという人格形成に必要なものでしょう。
収穫も大切な経験だと思うのですが・・・
秋には梨狩りやいも掘りなどの行事も行われます。収穫の喜びと労苦とを幼いうちに経験するのも人格形成に非常に重要ではないでしょうか。
残念な事に今年度からとある公立の保育園でいも掘り遠足が無くなってしまいました。昨年度までは自治体が観光バスや農園での費用を賄ってくれていたのですがその予算が無くなったからだと。さらに詳細を伺うとその予算を小中の給食費や高校の授業料を無償化するために回すからだったそうです。
この対処には憤りに近いものを覚えました。
役所にしてみれば保育園のいも掘りを継続するより給食や授業料の無償を謳う方が実がある、世の趨勢に沿い共感を得やすい、と思ったのでしょう。
私は敢えて否!と申したい。
この年代でないと出来ない経験をみすみす奪う結果になると思えたからです。
自分で収穫した物を調理して貰ってみんなと喜びを分かち合う こんな経験を4,5歳くらいの年代でしておくことは自身の体験を踏まえてもかけがえのないものではないかと思います。幼稚園の年中の時に川越の畑に連れて行って貰って自分で採ったおいもを普段のよりも美味しく感じた経験は、ものづくりの仕事に携わる意義を与えてくれるきっかけの一つになりました。
子供に対する大人の大切な役割は 体験の場を与えて成功や挫折を経験させる 事だと思っています。
習い事でもスポーツでも、体験で得られた成功や挫折からはそれは多くの物を学べます。それが幼い年代であればなおさら。ひとつでも多くの事柄をさせてあげられたら、経験の幅も深みもより拡がるわけですから。
その年代で無いと意味が薄れる体験は数あります。成長してから味わう収穫の喜びと幼児のそれとでは得られる意味が違う。保育園時代の収穫体験は、給食や授業料を浮かすよりも大事なのではないかと思えるのです。
今回はこの辺りで。最後までお読みいただきありがとうございました。
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