015行事の撮影方法#002 運動会編2
こんにちは 学校写真のエキスパート 田賀谷浩です。
いつもご愛読くださりありがとうございます。
技術論を語り出すと長くなってしまいました。ということで前回に引き続きプロとしての撮影技術とお気遣いの話 運動会編その2
時計あわせは確実に
後処理の時間を少しでも短縮することは非常に重要です。2台以上のカメラを使う時は、秒単位で日時を揃えておきましょう。まぁ普段からなさっているとは思いますけど。併せて同一のカラーチャートをそれぞれのカメラに写し込んでおく事も大切です。
カメラ位置を下げてみよう
カメラのアングル(被写体に対する高さ)は3つに大別されます。
・見下ろす位置から撮る俯瞰
・水平な位置から撮るアイレベル
・見上げる位置から撮る仰視
プロとして撮る場合、ものの形を正しく表したりデフォルメしたりするのに3つのアングルを意図的に使い分ける事が必要ですが、どのくらい意識しているでしょうか。姿かたちを最も正しく表せるのがアイレベルなのですが・・・、ズバリ申し上げてほとんどの人は子供を俯瞰で撮っています。
人を撮る場合のアイレベルは言葉尻から目の高さで撮ると思いがちなので、プロの方でも大概の方はぜいせい顔の高さくらいのカメラ位置が多いですが実際のところ「全身で撮るアイレベルは腰の高さ」になります。
アイレベルで撮られた写真はとにかく臨場感が増すことです。見下ろすくらいのアングルは可愛らしさの表現にもなりますから子供を撮るのに決して悪いわけではないのですが、どうしても頭が大きめのデフォルメになりますし何より保護者が撮りつけているアングルです。私はフィルムの時代から如何に素人と差別化しようかとアイレベルに近い高さで全身を撮ろうと苦心していました。さらに仰視レベルで撮ろうと思ったら地面近くの高さにカメラを持っていきノールックで撮影する以外に有効な撮り方が出来ませんでした。そのため幼児の運動会取材といえば撮る度に大きくしゃがんでを繰り返していたこともあり、屈伸の嵐で一日が終わると腿がパンパンでした。
デジタル一眼レフカメラになって一番有り難かったのはバリアブルアングルの液晶ファインダーのおかげで、幼児や小学生のアイレベルや仰視がいとも簡単に撮れるようになった事。本当にありがたい時代になりました。
業務として撮られるのであればアイレベルを常に意識されて撮影されることをお奨めします。
まんべんなく等量に撮ろう
販売用であれば言うに及ばず、卒業アルバム用としても特定の子供に偏らない必要があります。
そのためにまず必須となるのは「自分が動くこと」。喫緊の事例で言えば、表現演技でトラックに丸く並んでいる場合は校庭を2周以上走るようなスピードで回って撮りましたし、ダンシング玉入れの場面では踊っている場面を紅白とも3周して撮りました。
ここで言う等量というのは「第三者的な視点で同様に写っているカットが同じ程度あると認識してくれる」というニュアンスで受け取ってください。
代写の方でよくあるカットは「フレーム内に写ってはいるけど広角レンズ過ぎて手前と奥とでデフォルメが強すぎになり、奥の子が写っていると認識されない」「数名で写ってはいるけど良い表情の子が一人くらい」「あまりに引いたショットで大勢写りすぎて顔自体が認識されない」の3点です。
ピン(一人)撮りをするなら全員を確実に撮りましょう。それが無理なシチュエーションなら最初から撮らない選択肢の方が安全です。保護者は目に見えるえこひいき(と受け取れる結果)を嫌いますから。
でないと・・・ ((;゜д゜)ガクガクブルブル
せっかく一所懸命撮っていただいたのに、結果をご覧になった保護者や当人が見た際に、「うちの子のピン撮りがない」とか「表情が見えない」「良い表情でない」というカットばかりだと次のような言葉を表出されるのです。
「うちの子が一枚も写ってない」「写真屋さん 下手」
よぉく見れば何枚も写真はあるんですよ。でも自分の子が主役と認識出来る写真がないとか、いい表情が無いと感じると(えてして非常に主観的です)保護者はものすごく単刀直入な表現を仲良し同士でするんですよ(驚)。そう言わせないためにも、あまりデフォルメを利かせずタイミングを見計らったカットでそれなりの表情の瞬間を確実に捉えてあげましょう。
学年仕分けの参考情報を仕入れよう
競技や演技によっては複数の学年合同で行われる場合があります。規模が小さめの学校では特にその傾向が顕著です。
団体競技やリレーでは前半と後半とで学年が別れていたり、表現演技では衣装や持ち物の色が別れていたりします。その情報を持ち帰る事は販売の際にも卒業アルバムに用いる際にも大切になります。
専ら自らの業務として撮影を行うか、撮影業務を依頼する立場なので、その目線からものを申してみましたが如何だったでしょうか。ひとつでも参考になったとしたら幸いです。
では今回はこの辺りで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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