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夏休み明けの”子どもたちの異変”に注意!

夏休みが終わり、新学期を迎えた学校も多いかと思います。
夏休み明け前後は、再び学校生活に戻ることが大きなストレスとなり、子どもの自殺者数が増加する傾向があります。

それは、「学業に関するプレッシャー」「友人関係の問題」「家庭内の問題」など様々な問題・不安から新学期が近づくことをストレスに感じ追いつめられてしまう子どもたちがいるためです。

今回は、子どもの自殺者数が増加する夏休み明け前後に、子どもたちの「危険サイン」を見逃さない為の情報をご紹介します。


令和5年度の小中高生の実状

(厚生労働省・警察庁「令和5年中における自殺の状況」 より作成)

令和5年度の月別データを見てみると、最も小中高生の自殺者が多かったのは10月(61人)ですが、次いで多いのが9月(54人)となっています。8月(52人)についても、月別データの中では自殺者の多い月になっています。

では、続いてその原因・動機についてのデータをご覧ください。

(厚生労働省・警察庁「令和5年中における自殺の状況」 より作成)

自殺の原因・動機については、学校問題が一番多くなっています。

学校問題の内訳としては、「学業不振」「入試に関する悩み」「進路に関する悩み(入試以外)」「いじめ」「学友との不和(いじめ以外)」「教師との人間関係」「性別による差別」「学校問題その他」の8つに分かれています。

学校問題の中でも特に多かった原因・動機は、学業不振(65件)、進路に関する悩み(入試以外)(53件)、学校問題その他(51件)、学友との不和(いじめ以外)(48件)でした。

詳細なデータについては、警察庁の出している自殺者数の統計資料をご覧いただければと思います。

自殺に追い詰められる心理

実際に自殺を選択してしまう子どもたちは、どういった心理状態なのでしょうか。自殺はある日突然考えつくのではなく、長い時間をかけ徐々に「自殺したい」という危険な心理状態に陥っていきます。では、実際にどういった心理状態の時に自殺を考えてしまうのでしょうか。

①ひどい孤立感
「誰にもわかってもらえない」「誰も助けてくれない」と自分の殻に閉じこもってしまう

②無価値感
自分自身は「自分はいらない存在だ」「誰からも必要とされていない」と思い込んでしまう

③強い怒り
自分の置かれているつらい状況をうまく受け入れられず、やり場のない気持ちは他者への怒りとして表す場合があり、それが何らかのきっかけで自分自身にその怒りが向けられることがある

④苦しみが永遠に続くという思いこみ
「辛く苦しい現状が永遠に続くかもしれない」と思い込みで絶望的な感情に陥る

⑤心理的視野が狭くなる
「自分が感じている問題の解決方法は自殺以外にない」と、それ以外の方法が思い浮かばなくなる

など

文部科学省「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」のマニュアル及びリーフレットの作成について

上記などの場合に、自殺したいという心理状態に陥りやすくなります。

子どもの異変から危険サインを見逃さない

子どもたちが自殺に追いつめられる前に、その危険サインに気付くことはとても大切なことです。次のような特徴がある場合、自殺の危険が高いと考え、対象の子どもを注意して見るようにしたり、サポートしたりする必要があります。

・自殺未遂歴がある

・心の病(うつ病、統合失調症、パーソナリティ障害、摂食障害など)がある

・家庭環境に不安がある(家族の心の病、虐待、家庭内DV、経時的困窮 など)

・独特の性格傾向がある(依存的、極端な完全主義、衝動的 など)

・喪失体験がある(離別、死別、失恋、急激な学力低下 など)

・孤立感がある(友人とのあつれき、いじめの体験 など)

・安全や健康を守れない傾向がある(怪我や家出などを繰り返している など) など

文部科学省「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」のマニュアル及びリーフレットの作成について

上記に当てはまる場合は、注意して見るようにしましょう。また、上記特徴のある子どもに普段と違った行動変化が現れた場合は、自殺直前のサインとして注意を払う必要があります。

特に、以下のような行動をしている場合は要注意です。

・行動、性格、身なり、睡眠や摂食状況の突然の変化

・自傷行為をしている

・怪我を繰り返す傾向が顕著に増加

・家出や放浪をする

・引きこもりがちになる

・近しい人物などの重要な人の自殺

・別れの用意(整理整頓、贈り物や大切にしていたものを友人等にあげる など) など

文部科学省「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」のマニュアル及びリーフレットの作成について

子どもへの対応について

前述してきた内容から、自殺の危険性があると感じたときは、見守るだけで解決することはできません。
しかし、自殺願望のある子どもの心は、すでに苦しみや悲しみなどで限界の状況にある場合があります。
そういった場合の対応は、丁寧かつ慎重に行う必要があり、留意すべき点もあります。

 一人で抱え込まず、多くの目で子どもを見守る

自殺の危険性の高い子どもを見守る・サポートする際は、ひとりで抱え込まないことが大切です。
多くの目で子どもを見守ることで、子どもの変化に気づきやすくなったり理解を深めやすくなったりしますし、多くの目で見守ることで、見守る側(教職員など)の精神的な不安や負荷の軽減にもつながります。

急に子どもとの関係を切らない

自殺の危険性の高い子どもに親身に関わっていると、依存されることがあります。
依存されることに疲れ急に関わり方を変えてしまうと、子どもは見捨てられたと感じます。
その際、絶望感におそわれ、人間不信の増幅に陥ることがありますので、突然関わり方を変えるということは避けましょう。

 「秘密にしてほしい」という子どもへの対応

子どもから「他の人には言わないで」などといわれた際、信頼してくれたから教えてもらえたんだと感じ、一人で見守っていこうという考えに陥りがちです。
しかし、自殺の危険は一人で抱えるには重過ぎます。子どもが恐れているのは自分の秘密が知られることではなく、それを知った際の周りの反応である場合があります。
その一方で「秘密にしてほしい」という訴えに応じなければ、その子どもとの信頼関係が破綻する危険性もあります。子どものつらい気持ちを尊重しながら、どう対応するか周りにいる教員や保護者、関係機関に相談してみましょう。
気を付けるべき点として、学校では守秘義務の原則に立ちながら対応の検討をする必要がありますので、どのように校内で連携をとり、共通理解を図れるかが大きな鍵となります。

自傷行為への対応

自傷行為には、心の痛みを和らげる鎮痛効果があり、生きるために行っている可能性があります。
しかし、自傷行為を繰り返していると慣れが生じ、鎮痛効果が薄くなり、より深刻で危険性の高い手段で自傷するようになることがあり、結果的に自傷行為から命を落とす危険が高まってしまいます。
そのため、自傷行為をしていることに気づいたら、子どもの話を聞きながら相談しやすい環境をつくり、スクールカウンセラーなどにつなげ適切な対応ができるようにしましょう。

死にたいと思うようになった子どもの変化に気付くことは難しいですが、友人同士であれば、その「死にたい」という気持ちの片鱗を伝えている可能性があります。
日頃から、友人が教員へ相談することは、その子どもを裏切ることではないということや、適切に大人につなぐことが大切だということを子どもたちに伝え、多くの子どもと信頼関係を築いていくことが大切です。

まとめ

以上、「夏休み明けの”子どもたちの異変”に注意!」はいかがでしたでしょうか。

子どもの自殺に関して、今回紹介したのは令和5年度の実状のみでしたが、年々その数は増加傾向にあります。現状自殺願望がない場合でも、悩みが大きくなるにつれ、そういった願望が出てくる危険性があります。

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