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日常生活に潜む犯罪「盗撮」について考える〜加害者にならないために〜

街中で多くの人がスマートフォンを常に手に持っていることが当たり前の光景となった現代。

このスマートフォンを利用した犯罪のひとつとしてあげられるのが、最近耳にすることも多くなっている「盗撮」です。

今回の記事では、この「盗撮」ならではの特徴に触れていき、その上で子どもたちの日常にも潜んでいる盗撮のリスクにも焦点を当てて考えていきます。


条例・法律について

盗撮とは、一般的に「被写体となる人に了解を得ずに勝手に撮影を行なうこと」を指し、通常衣服で隠されている下着や身体の部位をスマートフォン等の撮影機を用いて無断で撮影する行為は、迷惑防止条例違反や撮影罪に該当する犯罪になり得ます。

まずはそれぞれの条例と法律について、簡単に紹介します。

迷惑防止条例とは

各都道府県などの自治体が定めている、公衆に対する迷惑行為を禁止する条例です。

基本的には、公共の場所又は公共の乗物で行われる迷惑行為のことを示しており、これには痴漢や盗撮、つきまとい行為や転売行為等まで、幅広い迷惑行為が含まれています。

常習的に繰り返している場合や、ストーカー規制法にも抵触するおそれのあるつきまとい行為などでは、逮捕の可能性が高くなるとされています。

撮影罪とは

2023年7月より新たに施行され、他人の下着や性的な部分の撮影を、ひそかに行ったり、おどしやだますことにより行ったりした者を処罰するもので、性的な部位の写真や動画を拡散する行為も処罰対象としています。

また、こうした写真や動画を撮影・拡散(提供)だけでなく、保管、送信、記録したりすることも処罰の対象に含まれているのが特徴です。

これまで迷惑防止条例では、盗撮行為が飛行機や鉄道などで発生して都道府県をまたいだ場合、適用すべき条例が特定できず、処罰されないケースが生じていました。

これらを比較すると、細かな異同がありますが、同時に従来の条例よりも広く・厳しく処罰されるようになったと言え、現代での問題の深刻化がうかがえます。

撮影罪について、「新法令「撮影罪」とは?子どもたちを守ることに繋がるのか」という記事も作成していますので、合わせてご覧いただければと思います。

更に、警察庁のデータを見てみると、2022年には全国の盗撮行為の検挙件数がおよそ5700件に上り、過去最多を更新、更には2023年からそこに撮影罪も加わり、合わせると盗撮に係る検挙数は約6900件となっています。

撮影に使用される小型カメラの進化、SNS上での盗撮画像・動画の拡散や販売など、このような要因は、盗撮被害に合うことのリスクの増加につながるのではないでしょうか。

「盗撮」はどこで起こる?

皆さんは「盗撮」にどのようなイメージを持っていますか?

「電車」「エスカレーター」「温泉」「更衣室」このような場所がパッと思い浮かんだ方も多いのではないでしょうか。

警察庁の調査において撮影罪での検挙件数が最も多いのは、商業施設、次いで、駅構内や乗り物内と、身近な場所で犯罪被害が起きています。

(参考:警察庁_令和5年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果:https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/chikan/R05-1chikan.tousatsu.pdf)

法務省の資料によると、盗撮の再犯率は高く、再犯率は64.9%とされています。(一般刑法犯の平均再犯率が47.1%)同時にこのデータは、盗撮の「依存性の高さ」も感じさせます。

(参考:法務省資料(第6編 性犯罪者の実態と再犯防止):https://www.moj.go.jp/content/001162857.pdf

盗撮をなぜ繰り返してしまうのか?その心理は?

盗撮を繰り返す要因においても「周囲から自分が認めてもらえた」という厄介な「承認欲求」が関係してくると考えられています。

加えて、「バレるかもしれない・・・」というスリルや、「以前もバレなかったのだから、今日もバレずに撮れるだろう」という依存性・・・

時には、「家で怒られた」「テストの点数が芳しくなかった」など日常のちょっとしたストレスやイライラを発散させる手段として盗撮行為につながってしまうこともあるのです。

特に子どもたちにとっては、盗撮行為が日常生活におけるちょっとしたスリルとして遊び感覚になってしまい、「バレずに撮影できたら勝ち!」というゲームのような感覚で実行してしまうケースも否定できない現状があります。

盗撮は不特定多数の他者に向けて行われやすい行為です。相手を直接傷つける行為ではない、という認知のゆがみから、軽率に手を出してしまいやすくなるという特徴もあるのかもしれません。しかし、盗撮は犯罪であり、決して許されることではありません。

盗撮はいじめとも関係する?

ここまでは「犯罪」という観点から「盗撮」をとらえてきました。

しかし学校という場所では、盗撮のきっかけには学校ならではの理由が生じてしまうこともあります。そう、盗撮は「いじめ」に利用されることがあるのです。

これには時代の変化に伴い、低年齢層のスマートフォン所持率増加や、SNSの利用率が急増した背景も影響しているとも考えられます。

現に、中高生の“性非行”の問題のひとつとして盗撮行為が発覚したケースがあります。

『クラスの中で発言力の強い男子生徒が、あまり目立たない男子生徒に「隣のクラスの女子生徒を盗撮してきてほしい」とおもしろ半分で命令したことがきっかけで盗撮行為を繰り返すようになった、というケースです。

命令された男子生徒は、拒絶して自分がいじめのターゲットにされたらいやだ、と感じてしまい実際に盗撮行為を行ってしまいましたが、彼は画像を見せた男子たちから「お前すごいな」と称賛され、更にその盗撮画像データはLINEで共有されてしまいました。

これを機に、彼はLINEグループの仲間入りを果たすことができたのですが要求は更にエスカレートしていきます。

通学中の駅などの学校外でも盗撮行為をするようになり、逮捕されたときにはカメラフォルダーに膨大な量の画像や動画データが残っている状態でした。

「男の集団から男として認められ、仲間に入れてもらった感覚があった」と話し、本人にとっては盗撮行為が自分の承認欲求を満たすための行為になってしまっていたのです。』

(引用:NHK記事(NHK みんなでプラス)https://www.nhk.or.jp/minplus/0026/topic082.html

その他にもこのような事例は存在します。興味本位のみならず「いじめ」や「からかい」が盗撮のきっかけとなり得るのです。

改めていじめ同様、このような盗撮の拡散による性被害に関しても大人が早い段階で気付けること、そしてその問題に介入していくことは重要になると考えられます。

まとめ

ここまで盗撮に関係する条例と法律について改めて整理し、その行為の依存性や心理的要因の関連について触れました。また、子どもたちの身近にひそむリスクとして、いじめとの関連やインターネットリテラシーについて取り上げました。

日頃、盗撮について改めて考える機会は少ないかもしれません。

しかしこのような、スマートフォンが普及した現代ならではの特徴からも、早期の段階で大人が気付き、適切な知識を子どもたちに伝えていくことが重要であると考えます。

被害者のみならず、軽い気持ちから盗撮の加害者になりうる可能性について、子どもたちと一緒に考えてみてはいかがでしょうか。


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