転職のキャリアダウンと歪んだ学校教育
キャリア相談には、就活中の学生、転職希望者、生活困窮者の人、軽度精神障碍者の人、犯罪を犯した人、中毒症用の人、家庭内で「引きこもり」のいる親御さん等々が様々な問題を抱えて相談に来られます。
キャリアダウンは、自己肯定感を下げる
とりわけ能力の高い人たちの苦悩にキャリアカウンセリング理論はとても充実していて活用できます。軽度鬱状態に陥った場合でも立ち直れる可能性は高いと思います。
その理由は、こういった人たちは間違いなくキャリア理論を理解する能力とともに純粋さを持ち合わせているからです。
日々努力を重ねた結果として、高い能力集団の中に身を置くことができた人が落ちこんでしまう場合は、環境を変えてみる可能性を探ることを試みたりします。
ただし、そこで注意すべきことは、決して今までよりも極端に能力の低いレベルの組織に転職をしないということです。それは自己肯定感をより低くしてしまう危険性があるからです。
ある男性は転職先の選択を誤ってしまい、引きこもって3年以上経過、家族を苦しめ続けています。
一流大学から都市部の一流商社に入ったものの心を病み、地方の実家に帰り全く畑違いの建設関係の中小企業に転職しましたが、自己嫌悪に陥り退社して引きこもってしまいました。
自分の高い能力を活かせる職場は必ずあると信じて、焦らず積極的に転職活動をすべきです。
その際はキャリアカウンセリングが在籍している相談機関を利用してみることをお勧めします。公的機関のキャリア相談窓口は、無料で利用できます。
社会経験のない若年者であれば「根拠のない自己効力感を持って、まずはやってみる事」といった指導的助言をされるカウンセラーもいらっしゃいましたが、いずれその自己効力感は現実にぶち当たって砕けてしまします。
それよりも、何でもよいから好奇心を持つこと、小さいことからコツコツと自信となる根拠づくりを勧めます。
「勝った」「負けた」という他人との競争心を学習意欲の喚起をするのではなく、自分の能力を上げることで、自己成長や社会貢献がもたらす幸福感を得るという目的意識を持つことが重要でしょう。
貧困と教育
日本の貧困問題は昔からありました。不幸な戦争も「貧困からの脱却」の手段として、国民がリーダーに先導されたものと言えます。
ところでリーダーになれる人は、能力の高い人ばかりでしょうか。能力の高さは学力でほぼ決まってくるのでしょうか。能力の高い人が裕福で良い暮らしができるのでしょうか。
経済面での二極化とともに、能力面でもますます二極化が進むのは今の社会では必然のことかもしれません。だからと言って「貧困家庭に育ったから教育が受けられないので能力が低い」というのも間違っているような気がします。
田舎の公立高校から進学塾にも通わず現役で一流大学に進み、一流企業に就職される人は何人もいます。
ただ残念ながら家庭の経済状態から進学をあきらめたり、退学を余儀なくされる人は少なからずいるという現実があります。アルバイトに明け暮れて留年を余儀なくされた学生の相談もありました。
戦前の日本はほとんどの家庭が貧困家庭であったのですが、裕福な一部の名家や大地主が地域の優秀な子供を養子にしたり、学費援助をして高等教育を受けさせていました。
その役割は今は国家全体で行うべく奨学金制度や民間金融機関での教育資金貸付制度があるのですが、授業料の高騰や就職後の低賃金で返済不能となるなど問題点は多くあります。
目的が歪んだ学校教育からのセルフ脱却
福沢諭吉の「学問のすすめ」が今の学校教育に必要なものを教えてくれています。
現代を生きる私たちにとっても、依然として重要な意味を持ちます。