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賃金格差とイジメの心理の共通点

近年では、SNS等での誹謗中傷により、実際に刑事罰や民事上の責任を問われるケースが増加していますが、普段の会話での「他人の悪口」では、直接的被害がない限り罰せられることはありません。

これと同様に賃金格差が広がっても、それが法律内であればだれも罰されることはありません。

昨今の日本社会では被差別貧困者の増加が社会問題になっていますが、これをイジメと考えるのは行き過ぎた見方でしょうか。

私の「生活困窮者支援事業支援員」として、また実際に低賃金の職場で働いた体験から、賃金格差の広がりはイジメの構造によく似ているように思います。

貧困問題を無視することもイジメ

イジメにもリーダーが存在します。経済格差による貧困者の増加を生んだ一部の政治家や官僚、企業家たちをイジメのリーダーとするならば、貧困者たちを目のあたりにしながら傍観している大多数の国民は「無視」というイジメに加担しているという見方ができます。

もちろん大多数の人は自分の生活を守る事で精一杯なのですが、それでも貧困問題に関心をもって何らかの活動はできるはずです。

まずは身近なところから探ってみると、正社員と非常勤(派遣、パート等)との賃金格差を制度だから仕方がないという見方を変えることです。

両者を比べると、仕事に対する責任感や職務内容の重要性には確かに大きな隔たりがある企業もあります。

しかし生産性や専門知識のスキルを見ると、全く逆な職場に少なからず遭遇します。
資格も経験も豊富な非常勤職員が、そのスキルを活かすことなく低賃金で働かされている職場があるということです。

私自身がカウンセラーとして百数十社の企業訪問をしたり、カウンセラーとして1000人以上の人から仕事の悩み相談を受けたこと、また非常勤社員として15年以上、5社に勤めた実体験から感じ取ったことです。

これは、経済的貧困だけではなく、精神的貧困までも生み出していると言えます。

・不平等感:どちらも、特定の個人やグループが不当に扱われているという共通点があります。
権力差:賃金格差では、管理職と一般職、正社員と非正規雇用者など、権力を持つ側と持たない側の格差が生じます。イジメでも、加害者と被害者の間には、体格や人気、学力などの差があり、権力差が関係している場合があります。
心理的影響:賃金格差は、経済的な不安や自尊心の低下、モチベーションの低下など、さまざまな心理的な悪影響を招きます。イジメも、被害者に精神的な苦痛やトラウマを与えるなど、深刻な心理的影響を及ぼします。

Gemini

「当たり前だから仕方ない」と思う社会を変えるようとするのは、差別を受けている側からは難しいでしょう。近年、非正規雇用の増加に伴い非常勤職員の労働組合も活発化し始めているようですが、それを身近に感じる人は少ないのが現状です。

真摯に仕事に立ち向かっている非常勤社員の声をちゃんと聴くことが出来ているでしょうか。

行政機関でも不平等感はあるが

行政機関における公務員の男女間の賃金等の処遇の格差は形式的にはありませんが、正社員と非常勤職員との賃金格差は約3倍程度あります。これを是正するために以下のような取り組みが求められています。

非常勤の待遇改善: 非常勤の給与、福利厚生、雇用形態などを改善することで、正社員との格差を縮小する必要があります。
ジョブ型雇用制度の導入: ジョブ型雇用制度を導入することで、職務内容に基づいて賃金を決めることができるため、正社員と非常勤の賃金格差を是正することが期待できます。
業務の効率化: 業務の効率化を進めることで、人件費を抑えることができるため、正社員と非常勤の賃金格差を是正することが期待できます。

経済格差は精神面にも影響する

経済的に追いつめられると「心の歪み」が生じてしまう場合があります。それは自分の生きる意味や存在の価値を見出せなくなるという事です。

そしてそれが周りの人や自分自身にも悪影響を及ぼします。
自分の価値観を見失った場合、人の悪口を言ったりや無視をすることで心を誤魔化したりしているのです。

少し話は逸れますが、「心の歪み」に関しての一例です。

田舎に移住してから、特に中高年女性の「他人に対する悪口的な会話」はよく耳にします。

田舎独特の、永年虐げられてきた女性が心を保つためには「他人の悪口を言い合う井戸端会議」的なことも必要だったのかもしれません。

女性が一人の人間として社会的自立心を持てないまま、夫の仕事や子供の学業成績、家柄の良さなどを心の支え、見栄として生きてきて、そういったものが時の流れとともになくなった時から心が歪んでしまった人もいるようです。

「心の歪み」は伝染するのかもしれません。親や近親者が「他人の悪口」などを頻繁に話すのを聞いて育った子供たちは、自然と「悪口習慣」を身につけてしまうのは肯けます。

他人の悪口を言うということは一時的なストレス解消になるという意見もありますが、同時に無意識のうちに自分自身の心を蝕んでいきます。

また、集団で村八分のように特定の人を無視するといったことは大人の世界でも在りますし、これも罪には問えません。

賃金格差とイジメの心理の共通点

賃金格差
 自分の収入が周りの人よりも低いと感じることで、相対的な剥奪感を感じ、不満や怒りへとつながります。
 仕事の量や質に対して、報酬が不公平だと感じると、モチベーションの低下や不満へとつながります。

イジメ
 
集団から仲間はずれにされ、孤立することで、強い孤独感や不安を感じます。
生活困窮者に対する偏見や無視など、精神的な苦痛を与えて「心の歪み」を生じさせます。

 賃金格差は、社会構造や経済システムに根ざした問題であり、個人の問題にとどまりません。個人の生活や幸福感に大きな影響を与えるだけでなく、社会全体の格差問題となっています。

被差別者を生む要因となる格差社会は、いじめによる被害者の心身に深い傷跡を残し、場合によっては命を奪うこともあります。

賃金格差とイジメは、どちらも不平等感や劣等感、そして力関係が深く関わっており、人間の心理に共通する側面があると言えるでしょう。その背景や影響の範囲は大きく、社会的な問題として捉える必要があります。


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