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花を盗んで、幸せですか
最近、家に花を飾るようになった。
これと言ったキッカケは、特にない。近所のお花屋さんに、ちょうど良い感じのテーブルブーケが売っているのだ。400円くらいで買える。しかも1回飾ると3〜4週間くらい楽しめるので、コスパも良い。
花のある生活は、去年の秋ごろから始めた。朝、起きたら水をかえる。ときどき忘れて、夜にかえることもある。そんなふうに1日1回は花の世話をしていると、やはり愛着が湧いてくる。なので枯れてしまうと寂しいが、最後まで頑張ってくれてありがとう、みたいな感情も湧く。
今日もいつも通り、花の水をかえていた時のこと。小学生だったときの記憶が蘇った。
母はわたしと違って、花にくわしい。当時住んでいた家の外壁に、壁掛けプランターをいくつか飾っていた。植えてある花は、たしかパンジーだったと思う。花が好きな母は色の組み合わせを自分で考え、寄せ植え作業を楽しそうにしていた。わたしは花に興味のある子どもではなかったのだが、外壁に飾られたパンジーを見て「いい感じやん」と思った記憶がある。
だが、数日後。壁にかけてあったプランターは全て盗まれた。
今思い出しても、気味が悪い。人通りが少ないわけではないのだが、人目を盗んで何者かが持って行ったようだ。母はだいぶショックを受けていた。が、めげずにもう1度プランターを用意して、飾った。
そして数日後、また盗まれた。同一犯なのか?監視カメラは設置していなかったので、結局犯人は分からずじまいだ。母もさすがにショックを通り越して「怖い」と思ったそうで、それ以来、外壁になにかを飾ることは一切しなくなった。
犯人の目的は、なんだったのだろう。売るにしても、ホームセンターのプランターに、パンジーの苗だ。大金になるはずがない。では、自分の家に花を飾りたかったのだろうか。もしそうだとして、盗んだ花を最後まで愛でただろうか。一度は他の人が「綺麗だな」と思って購入し、最後まで世話をしようと思って植えた花だ。その気持ちを踏みにじるような人が、花を愛していると言えるだろうか。
ああ、これを書いているともう1つ思い出した。不快な話が続いて恐縮だが、花泥棒はいろんなところに出没するらしい。母が一度、こんな光景を目にしたという。
玄関にたくさんの植物を飾っているお家。いいなあ、綺麗だなあと思いながら歩いていたところ、数ある植物の隣にプラカードが立てかけられていた。よく見てみると、こんな一言が添えられていたという。
「あなたが盗んだサボテンは、亡くなった家族が大切に育てていたものです。返してください。」
盗まれたサボテンには、時間と思い出が詰まっていると思うとやりきれない。犯人がその文言を読み、返すことを願うばかりだ。しかし、本当に何がしたいんだ。誰かが大切に育てていた花を盗むような人は、花を愛しているとは決して言えない。
今日は少しモヤモヤが残るnoteとなってしまった。(すみません……)しかし花泥棒の心理は、どれだけ考えても理解できない。人が大切にしているものは横取りせず、自分で「大切なもの」を見つけて欲しいものだ。
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