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ものづくり企業としてのサステナビリティ戦略を探る 第2回 - サステナブルなモノづくりのこだわり

こんにちは、インダストリアルオートメーション事業部で引き続き修行中の水野です。ものづくり企業だからこその、製品にまつわるシュナイダーのサステナビリティ実現への取り組みについて、入社1年目の私が先輩社員に取材しながらその秘密を探るこのシリーズ、第2回目をお届けします。(第1回の記事はこちら

今回は、シュナイダーのサステナビリティを体現している環境に配慮した製品開発をレポートします!シュナイダーはサステナビリティをリードする会社であると同時にメーカーであり、製品自体にもサステナブルな特性を盛り込んでいます。それを実現しているのがEcodesignという標準化された環境配慮設計と、その価値を最大化するためのBLAアプローチecoDesign Wayというシュナイダー独自の製品開発プロセスです。持続可能性と効率性を実現するためのモノづくりのこだわりを、環境に配慮した製品提供の技術的部分に詳しい開発のメンバーに聞いてみました!

今回取材した先輩:
日本の大阪にあるシュナイダーのHMI(Human Machine Interface)開発拠点の先輩お二人に協力してもらいました。

  • Sustainable Offer Specialist 宮川さん
    環境に配慮した製品設計、開発をリードしている人

  • Schneider Graduate Program Associate ウヤンガさん
    HMIのサステナビリティに関するプロジェクトの管理を担当

(左から)ウヤンガさんと宮川さん

サステナブルなものづくりのベースにあるシュナイダーの価値観とコンセプト

今回は、シュナイダーのサステナブルなものづくりを形作る、3つのキーワードについてご紹介していきます👇

  1. Ecodesign:製品のライフサイクルを通じて環境への悪影響を軽減することを目的とした設計及び開発プロセスで環境側面を考慮する体系的なアプローチ(ISO/IEC)

  2. BLAアプローチ:Ecodesignを最大化するためにシュナイダーが重視する概念

  3. ecoDesign Way: 環境に配慮した製品開発をするためのシュナイダー独自の開発プロセス

全世界で販売されているシュナイダーのプロダクトは、全てこの3つの考え方に則って開発されています。サステナビリティは概念的な一面もありますが、それを形作る開発プロセスからは現実味を感じました!

①Ecodesign

Ecodesign(環境配慮設計)はISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)によって標準化された定義です。[製品のライフサイクルを通じて環境への悪影響を軽減することを目的として、設計及び開発プロセスで環境側面を考慮する体系的なアプローチ]とされています。そのアプローチはライフサイクルアセスメント(以下LCA)に基づいた、定量的な手法により、材料と物質、梱包、エネルギー効率、サーキュラリティと製品の長寿命化のポイントがフォーカスされています。シュナイダーではそれぞれの評価した数値を商品環境プロファイル(以下PEP:Product Environmental Profile)として公開しています。


ロングセラーHMI製品、GP4000シリーズのPEP


素材情報や、製品の生産から導入、廃棄時に至るまでの環境負荷を細かく開示

②BLAアプローチ

BLAとはUse Better, Use Longer, Use Againの頭文字で、Ecodesignの価値を最大化するためにシュナイダーが重視している概念です。詳しい内容を、宮川さんに聞いてみました。

宮川:シュナイダーはサーキュラリティ、つまりは使い終わった商品を廃棄するのではなく、再び循環させることが気候変動の緩和と生物多様性の保存のキーとしていて、そのためにこのBLAの3つのコンセプトを取り込んでいます。具体的には、製品開発において以下のような観点を必須要件と捉えています。

Use Better = 商品素材やエネルギー効率を最適化
Use Longer = ソフトウェア更新や修理、耐久性の向上による商品の長寿命化
Use Again = 商品やその素材が再利用可能で、新しい商品に生まれ変わることができる設計

これらを重視して、Ecodesignの価値を最大化できる開発を行うことをシュナイダーではBLAアプローチと呼んでいます。

水野:なるほど。製品の製造から廃棄まで、ライフサイクルにおけるすべての段階で環境への影響を低減する意識が重要なんですね。

③ecoDesign Way

ecoDesign Wayとは、①②を最大限開発に活かし、環境に配慮したプロダクトを生み出すためのシュナイダー独自の製品開発プロセスで、以下の3段階プロセスに分かれます。これも詳しく宮川さんに聞いてみました。
1.マーケティングと調査・開発チームの合意
2.ecoDesignの評価
3.広報活動

水野:それぞれの工程では具体的に何をしているのでしょうか?

宮川:効率化の実現と環境に配慮した製品提供により市場ニーズを満たすために、マーケティングチームと調査・開発チームが合意するところから開発のプロセスがスタートします。製品開発プロジェクトでは、サステナブルな価値提案をすべて網羅する58の環境基準の中から市場に関連性の高い環境基準を選定し、このプロセスに基づいて製品開発を行っています。それぞれの製品はLCAに基づいて定量的な目標を設定しており、その目標が実現されているかを評価します。そして、製品ごとに設定された目標をクリアしたものだけが、正式に商品化され広報活動を実施するプロセスに進める、といった感じです。全体を通して、①のEcodesignや②BLAアプローチを意識しています。

水野:ecoDesign Wayは製品開発プロセスにサステナブルな要素が加わったものなんですね。詳しくありがとうございました!

調べてみたところ私水野が感激したことは、これが専門機関によってレビュー及び検証されているということです。 シュナイダー独自の開発プロセスでありつつも、客観性が確保されているところが推しポイントです!

大阪オフィスの開発風景

HMIでの事例

日本で開発を行っているHMI (Human Machine Interface) を例に、製品にどうEcodesignが組み込まれているのか、HMIの開発チームでサステナビリティを追求しているウヤンガさんに話を聞いてみました。(以下ウヤンガさんの説明)

ウヤンガ:Ecodesignでフォーカスされている材料と物質、梱包、エネルギー効率、サーキュラリティと製品の長寿命化のポイントからHMIの事例をご紹介します。

材料と物質

HMIにおける材料や物質の選定では、資源効率にこだわりを持っています。まず、使用コンポーネントを最小限に抑制することで材料を削減しています。2025年に販売開始予定の最新機種は、従来機種と比較してコンポーネントを10%削減し、軽量化しています。
また、お客様のニーズに応じて拡張が可能なデザインにすることで必要十分かつ無駄を省いた設計になっています。
さらには、サーキュラリティも考慮してHMIではローインパクト素材を選定しています。REACH、RoHSの準拠はもちろん、低CO2生産プロセス、リサイクルあるいはバイオベースコンテンツ、必要十分な材料の使用、最適化された材料の選択を行っています。2025年からは、HMIで使用する材料の50%が再生プラスチック、バイオベースプラスチック、ローカーボンアルミニウムなどのグリーンマテリアルに変わります。 

梱包

HMIの梱包は、必要十分な梱包材の使用とリサイクル段ボールの活用、使い捨てプラスチックの排除を行っています。使い捨てプラスチックは、2025年に完全排除の予定です。Pro-faceでは、HMIとIPCの全商品が対象となっています。

リサイクル段ボールと今後排除する使い捨てプラスチック

エネルギー効率

HMIでのエネルギー効率は、機能の十分性を確保しながらも部品や設計の見直しによって消費電力を抑制しています。例えば、現在開発中の最新機種は前機種と比較した場合消費電力は10%削減されています。
また、省電力モードの設定によりさらに20-30%もの消費電力を削減することができます。
適切なサイズ、モジュラー設計によって不要な電気の使用を避けるデザインが施されています。

サーキュラリティと製品の長寿命化

製品寿命後も廃棄物ではなく資源とするというサーキュラリティの視点から、全HMI製品に循環プロファイルを付けています。循環プロファイルとは、製品の寿命後の取扱に関するガイダンスです。リサイクル、回収、部分的な改修を施すことで再利用が可能になり、廃棄物ではなく資源とすることで環境に配慮した扱いが可能になります。
また、可能な限り廃棄物を出さないために製品の長寿命化と最適化も実施しています。HMIではこだわった品質と設計、メンテナンス、修理、ソフトウェアアップデートなどのサービスによって製品の長寿命化と最適化を実現し、長期利用が可能です。例えば、高品質な部品を使用したり、モジュラー構造で破損した部品を簡単に交換できるデザインになっていたりと、メンテナンスや修理などのサービスでハードウェアを長寿命化できるよう工夫しています。長寿命化させたものを更に長期利用するために、古くなったハードウェアはソフトウェアによるアップデートや拡張式モジュールによるアップグレードで最適化しています。これは廃棄物の削減だけではなく、お客様のコストダウンや再設置及び配線の手間を省くことにも貢献します。

ウヤンガ:一例ですが、以上がHMIのEcodesignです。素材そのものにこだわり、無駄を省いたデザインを設計し、使用中のエネルギー効率、修理性やアップグレード、捨てる際のリサイクル性やサーキュラリティまで考慮された設計を施しています。

水野:ありがとうございます!抜け目なくUse Better, Use Longer, Use Againを体現していてEcodesignが最大化されていると感じました。新製品では環境的なところも妥協なく追及して進化させる一面に、シュナイダーのサステナに対する本気度が見えます。また、サステナビリティとはフェアトレードや再エネなど、お金がかかるものをイメージしますがコストや手間の削減になるうれしい一面もありますね。

HMIのEcoDesignを語るウヤンガ

今回は、シュナイダーのプロダクト開発の裏側にある考え方とサステナビリティを開発に活かしている姿を実例でご紹介しました。
シュナイダーは、こうした考え方をもとに、環境に配慮した製品を設計・提供し、有害物質規制への対応、専門機関による検証、データの開示を高いレベルで実施してきた実績があります。次回の記事では、こうした環境負荷に関する情報開示について、それがどう市場で求められているのか、導入するお客様側に近い視点から深堀りします。(水野)


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