呪縛のような。
今まで生きていて何度人からそう言われたか分からないくらい言われたセリフ。
「すごく色白だよね」
生まれた時から私自身はそれが当たり前だったから、自分が他人と比較してどれほどそうなのかは未だによく判らないのだけれど、人生で飽きるほど言われているのだからやっぱり世間一般の認識ではそうなのだろうなとは思う。
私からすればそれは持って生まれた変えようのないものでしかないのだけれど、他人はそこに勝手に意味や価値をつけたがる。
女性が色白なことは少なくともこの国の美意識では多くの人にとって美しいという認識で、たまたま美の条件のひとつに自分の持ち物が当てはまっていただけ。
それだけの事だけれど、そんなこの世の中にある価値観のせいでコンプレックスを抱えた誰かから、一方的に妬まれたり攻撃の対象になったりする事もある。
しばらく前に私をSNSで攻撃してきた人も、後から考えたら色白な肌を持つ人間にコンプレックスがあったように思う。
こちらからすればそんな事言われても…という話なのだけど。
褒められても妬まれても、どんな対応が正しいのだろうかと悩む。
私自身は幼少期から10代後半頃までは、自分よりも兄の方がよほど色白だろうと思っていた。だから自分は大して白くは無いのだろうと。
何にでもそうだけれど上には上がいる。私ら兄妹でもさすがにアルビノの人やコーカソイド系の人ほどは白くはない。
学生の頃は生まれつきの髪の色のせいで頭髪検査に引っかかったりもした。生まれつきの見た目に対して校則にそぐわないからと文句をつけられ、中年の男性教諭に髪をめくって内側まで覗いて確認される事のどこら辺が羨ましいんだろうかと思う。
紫外線にも弱いから、美白云々の前に肌が焼ける痛みを避ける為に日焼け止めをせっせと塗る。
…そういう事をひとつひとつ話しても、羨ましがる人は羨ましがるし、“なにそれ自慢?“と言いたげな事を言ってくる人もいる。
人とは違うという事が見て分かる特徴を持つ人はそれを隠しようが無い。
その特徴を背負って、それに対してあれこれ言われる事なんかとも付き合って生きていかなきゃならない。
飽きるほど言われて内心“またか”と思っていても、相手の真意を推測した上で、それに適当な答えを返さなければいけない。
“全てを笑顔で覆い隠すみたいに笑ってる。まるで雪が世界の全てを白一色で隠してしまうように”
_昔、私の事をそう喩えた友人がいた。私の名前の本来の由来は肌の白さではなくその言葉からだったのだけれど……。
(その友人もやんわりと私から離れていったっけ)
全部覆い隠してしまえるなら楽だったんだけどね。
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