雑文:或る手紙,
令和七年、一月二十一日。
川口市議会議員・青山聖子氏へ宛て、「クルド人」を名乗る脅迫状が通達をされているという事案が、
新潮社の報道に拠り、審らかとなった。
その白紙には、此の様に記述をされている。
大文字の達筆:「川口はクルド人の
ものです」
そして小文字:「日本人は出ていって」
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「クルド人問題」という言葉が、大凡はsnsにて――炎上を催す様になって久しい。
彼等の論調はこうである。
「国籍も、ビザも所持しない不定の輩達に、市民権はない、われわれ日本人の領土から、出てゆけ。」
「彼等は日本人に馴染まず、法も遵守をしない。強制送還をするべきである。」
成程、善良なる国民である――凡そはぺらぺらの保守思想に染まっている――匿名諸氏に取っては、
斯様に格好の標的は存在をしない、という事であろう。
そこで筆者は想起をした。
若し、今、日本列島を大規模な震災が襲った時には、百二年前の様な――、
風聞、デマゴーグが飛び交い、かつての在日朝鮮人の方々への虐殺の様な事件が勃発するのではないか、と。
今日、その火種を撒くには、ビラでも、口伝えでもなく、snsがその役割を担うであろう、と。
その様に忌々しい、心煩わしい印象を払拭出来兼ねる、
昨今の情勢を――翻弄し、翻弄され合うメディア、人の口の両者を――垣間見ては、
陰惨な心境を燻らせる事も頻りである。
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「川口ハ日本人ノモノデス。クルド人ハ出テ行ツテ。」 令和七年九月朔 前夜
――― 鷹枕可 起草,