遮断機は水をもとめて夜にぶらさがっている
焦げたコーヒーカップ
ぬかよろこびだった一月の火事
ジョバンニとやりとりをして
挨拶は閑散な
ギャラリーに小さな額縁を瞠る
絵のなかの
新荻久保駅前は未来の梢をものわかれに潤っていた
さようなら
また明日
はじめまして
また会いましたね
明日は晴れるでしょうから
傘はいらないでしょう
表であることの美しさは
球くカーテンに隠れていた落下傘
半開きになったドアにも
街はつつしまやかにも潤んでいたはずだったんだって
しかしどうかしたものかね
代わりに
幾把ものドアノブが
裸電球のようにつりさがってるんだよ
これなんか不気味にも、ほらやだベトベトしてるし
心臓に花を享けて
円形劇場は何時憶えられたのか
憶えられたのは
帰れない日へなつかしく
回顧される
椅子を巡る且ての晴がましい過ちだけだった
思い出すように振り返り
覚えるように額を近づけるとしても
一粒の顔料を
憧れ已まない
美術講師達の見た画家という夢は
生徒たちの名簿を飲みこむ
それはけして
戻らない挨拶
大事なのは
明日とその明日とその、なんだ
ゴチャゴチャッっとした
暈けた街を縫って
まるでパッチワークですねって言った、君は今確かに言った
違う、全然違うよ
まるで旧校舎のグラウンドに据えられたオルガンが大嘘みたいじゃないか
台無しだよ、いい加減大概だよ
あんたがたのためだけの折鶴はあんたがたが折っちゃあいけないんだって
いい加減わかれよ!!