小曲譜・デューラハーン

いつはりて
著し
しるしく
七莢へひとつたらざる
六鞘の燭臺もちて靑き少年の、
襯衣にとどむる
木の綿の花実つきにける

    :

牧羊神の晩餐へ、
ひきしぼらるる弓弦の秘めし一室より西方へ
緋の銅の風見鶏立てり
そは噴かず
炎の舌
鐡の口
真鍮の貌ふちどらる
ジャンヌ・ダルクの忌日にこそ啼け

忌忌し、白百合の萼ひらきけり

死の今際にしてたちすくみをりし
百の騎兵よ
とくと聞け!

われらが天堂攻入りぬ、
叛-天使群こそうちくだしては
救世に誉こそあれ

おろかし、
いつぞやの雪はだらにも穢れりしるきはなに
五弁星図のしるしはありぬ

敵こそは糧
敵こそはわが櫓

なだれこみゐし騎兵の数多
みづからの甲さげつつも
そは
刎頸の殉教徒ならめや

死してなほも呪はれてあれ
頸無しの騎馬率ゐてはかへるそは

煉獄ならずや
  
  

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