パレード
養蚕工場
棚の繭
喪われた車窓の蔭に
誰も似たり寄ったりだ
何時も雨傘に紛れて一つの希望を売り払う
雨よ橡を濡れているな
酸い海百合に
苦苦しく畳まれた地質学の鉱石は
混合し抽出されて
なおも
あなたがたは誰でも かけるものをかけなくしてしまう
街並みはありのままにうずくまっている
灯火を履に差して
死の顔貌を
寄せ
徴兵令の
国家も 選民も
百年のパレ―ドだった
櫻の木の庭
伐採される膚をてのひらにうけ
淋しい邸宅の幅に
告げられた
額縁は
椅子のうえ「花瓶の静物」に
かしずく
ひとびとを映写する
広告紙へ落ちた かつては海潮音だった
インクは胸部に飾釦を縫う最初の楽団
快速電車の鈍い長椅子に
いつかの途に
吊られて
かけない
故郷は
淡く
放熱する
シャーレ 黴の花
ルドンの理想像
あらかじめ滅ぼされたエジプトの葦
その森閑
だが
ぼくの絵は見る様にしか見られないだろう
画廊町には
標本箱の
蝶蝶が
眠る様に覚め 覚めやらぬ現実に滴っている内には