人種差別の壁に立ち向かった知られざる偉人、ブランチ・リッキーの名言
こんにちは、scherzです。
以前、メジャーリーグ史上初のアフリカ系アメリカ人であるジャッキー・ロビンソンと彼を見出し育て上げた監督のレオ・ドローチャーを彼らの名言とともに共有しました。まだお読みでない方はよろしければ以下からどうぞ。
今回は、さらにもう一人の重要人物をご紹介します。それは、ロビンソンを実際に雇う決断を下したゼネラルマネージャー、ブランチ・リッキーです。
映画「42~世界を変えた男~」でハリソン・フォード演じるリッキーと、ロビンソンの会話にその名言を見ることができます。
【英語】(Ro: Robinson, Ri: Rickey)
Ro: "You want a player that does not have guts to fight back?"
Ri: "No, No, I want a player who's got the guts not to fight back!"
【日本語】(ロ:ロビンソン、リ:リッキー)
ロ「”やり返す勇気”のない弱虫でいろと?」
リ「ちがう、必要なのは、”やり返さない勇気”をもつことだ」
いや、かっこいいっす…
実際、ロビンソンは何を言われようと、やりかえしたりすることはなかったそうです。
当時の社会背景を考えれば(人種によってトイレが別、バスの座席が別、宿泊規制、その他多くの差別的ふるまい…)アフリカ系アメリカ人の選手と契約するというのは、かなりの勇気ある決断だと推察されますが、なぜリッキーはそのような決断をするにいたったのでしょうか?
ひとつには、当時チームが本拠地を置いていたブルックリンという土地柄だと言われています。ブルックリンには黒人人口が多く、将来的に黒人が中産化することを見越してマーケティングの意味合いがあった、という説明です。
しかし、これだけでは強い差別意識への挑戦を説明する十分な理由にはならないと私は考えています。
そこで、リッキー自身の経験を紐解いてみると、その答えが見えてきそうです。
リッキーは、プロ野球のゼネラルマネージャーに就任する前、大学野球で監督をつとめていたことがありました。ある時、指導していた黒人選手がホテルの宿泊を断られるといった「事件」が起きました(今からすると信じられませんが、当時としてはよくあることでした)。
その選手をリッキーは、自分の召使いだと説明してようやく宿泊できたということですが、「この肌が白ければみんなと同じように泊めてもらえるのに」と涙を流す選手を目の当たりにし、その姿を忘れることができないと語っていたそうです。
この経験を踏まえれば、リッキーがどれほどの思いをもって当時の社会に挑戦したかが理解できると思います。
これまで3回にわたって紹介してきた、人種差別に立ち向かった偉人たちの名言とその背景について詳しく知りたい方は、映画「42~世界を変えた男~」をご覧ください。予告編には、今日紹介した名言も出てきます。予告編だけで泣けます。チャドウィック・ボーズマンとハリソン・フォードがかっこよすぎる…
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