「普通」「一般的」「当たり前」

「なんで、クラスメイトはヨシトをいじめたのかな?」
「なにか、ヨシトは違ったのかな?」
「じゃあ、普通って何だろう?」

かなり前の教育実習での一場面。たまたま、道徳の授業を担当させてもらえた。
使う教材はいわゆる「定番教材」。俺自身、それで学習した記憶があるようなものだ。

自分の中にあった疑問をそのまま発問にした。自分にも答えがなかった。ただ、自分が子どもたちの答えを聞いてみたいという独善的な理由があったことは否めない。

あれから時は流れ、この命題が再び俺の前に立ちはだかる。

「あなたの感じ方は普通じゃない。」
「私の感じ方にはいろんな人が賛同してくれた。」
「私の感情は当たり前だって。」
「私が普通で、あなたが間違っている。」

そういった彼女は数日後、自殺を図った。

未遂に終わったとはいえ、彼女はその直前、俺に電話をしてきた。
自殺予告だ。

「普通」でないことはいけないことなのか。そもそも「普通」ってなんだ。

「一般的」は?「当たり前」とは?

そんな些細な疑問に、俺は囚われている。

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