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ChatGPTのディレクションで没予定の動画素材をなんとか形にした話

 福島にアリゾナがあるという話を聞き、最近買ったinsta360 X4を愛車のカブに取り付けツーリングに行ってきたという記事と動画を、先日noteに挙げました。雨に霧に走るだけでも大変のツーリングでしたが、山頂の幻想的な雰囲気や猪苗代湖周辺の景色が印象的な旅だったと思います。

 記事や動画の中でも触れているのですが、雨とinsta360 X4の発熱で前面のレンズカバーが内側から曇るというアクシデントに見舞われました。曇り自体はレンズカバーを外すことで解決したのですが、曇りに気づいたのがアリゾナも通り過ぎた後だった為、前半の行程がまともに映っていないことになります。

正面中央に曇りが映り込む

 実際の映像が上図。背面のレンズに異常は無いので周辺の景色や私自身は綺麗に映っているのですが、やはり正面の真ん中に曇りが入っているのは素材的に致命的。。。

ChatGPTに相談

 そこで頼ったのがChatGPT。思いつく限りのプロンプトエンジニアリングをフル活用して、事故った素材から10-20分程のモトブログ動画をまとめる方針を提案していただきました。

実際にChatGPTに投げたプロンプトが以下の通り。【素材】と【方針】をしっかり記入し、動画の展開から編集方法まで丸投げしています。

あなたは優秀なアウトドア動画編集者でありプロデューサーです。
360度カメラをバイクに取り付けて景色の良い峠道を走る動画と関連する【素材】を撮影しに行きましたが、
当日は雨でバイク動画に水滴や曇りが発生してしまいました。
ほかの【素材】を活かして下記【方針】に基づき10-20分ほどのモトブログ動画にまとめようとする場合、
どのように展開・編集すれば視聴者を引き付ける動画が完成するかアイディアを出してください。

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【素材】
・360度バイク動画(水滴・曇りで部分的に見づらい箇所あり。モトブログの趣旨)
・山頂付近のハイキング動画(雨。山頂にある火口の周りを少し歩いたが霧がかっている。絵的には面白い)
・360度バイク動画、一部撮り直し(山頂付近の岩肌がむき出しになっている部分のみ。雨)
・下山する道中のバイク動画(だんだん晴れてくる)
・湖沿いの動画(快晴、湖は見えるし手前の田んぼがいい雰囲気)
・湖周辺の散歩動画(白鳥型、亀形、の遊覧船の周りを散策)
・登山中の写真(一眼カメラで撮影)

【方針】
・顔出しはしない(ヘルメット越しに写るのは可。自撮りメインの動画ではない)
・撮影者のみの一人旅
・あくまでモトブログである
・360度動画の特徴である「リフレーム」を有効に持ちた動画作りを心がける。

 丸投げプロンプトに対し、ChatGPTからはかなり詳細なディレクションが返って来ました。全部載せるととんでもない量になるので、掻い摘んで記載すると、、、

1. イントロダクション
 素材
:晴れ始めるシーン
 内容:天候の変化を感じさせる。
 リフレーム:360度カメラの特徴を感じさせる
2. 雨の山道を走るシーン
 素材
:バイク動画
 内容:雨の中の走行を中心に天候の厳しさや自然の力を感じさせる。
    水滴や曇りを「その時のリアルな状況」として活かす。
 リフレーム:側面や背面を映し立体的な景色を体験させる。
3. 山頂でのハイキング
 素材
:山頂でのハイキング動画
 内容:雨で霧がかった火口の風景を神秘的に見せる。
    バイクとは異なる静かな雰囲気を提供する。
 リフレーム:霧の中を歩くシーンを360度の不思議な視覚体験で提供。
4. 再びバイクに乗る
 素材
:下山シーン
 内容:少しずつ晴れていく様子と峠道で気分が変わる瞬間を描写。
 リフレーム:ダイナミックなカメラワークを使用。
5. 湖畔の散歩とリフレッシュ
 素材
:湖沿いのバイク動画+散歩動画
 内容:ゆったりとした音楽でリフレッシュ。
    ユーモラスな要素で視聴者にほっとする瞬間を提供。
 リフレーム:湖畔の風景を360度映す。

 水滴や曇りは「その時なリアルな状況」とするというのが名アウトドア動画プロデューサーの采配。360度動画のリフレームについても含蓄があり、動画は見ていないのに素材の特徴や使い方も細かくディレクションしてくれました。

 ついでにそれぞれのシーンにどんなBGMが適しているかも聞いてみました。いつもであればアップテンポな曲をつなげているのですが、ChatGPTの提案はこんな感じ。

1. バイク走行シーン(雨天・山岳)
 ジャンル: アンビエント、エレクトロニカ
2. 晴れていくシーン(下山道や湖畔)
 ジャンル: アコースティック、インディーフォーク
3. 観光シーン(湖や遊覧船の周辺散歩)
 ジャンル: ローファイヒップホップ、チルアウト
4. まとめ・エンディング(自然の風景をバックに)
 ジャンル: ポストロック、ピアノインストゥルメンタル

総合
動画全体を通して、視覚的な変化に合わせてBGMのトーンやテンポを調整することで、視聴者の気持ちを引き込むことができます。自然の中でのライディングを強調したいので、静かなアンビエントから徐々にリズムのある音楽にシフトさせ、最後にエモーショナルな楽曲で締めると、映像に一貫性を持たせつつも、緩急のあるストーリー性を演出できます。

 「総合」でもまとめられていますが、雨での撮影ということもあり全体的に落ち着いた曲調をチョイス。フリー素材の関係で全て実現できた訳ではないものの、LoFiやアンビエントといった最近の流行りも押さえつつ、最終的に少しずつ盛り上がっていく展開もさすが名プロデューサー。

 ChatGPTにディレクションされつつ、最終的にまとまったのが以下の動画です。冒頭は雨と晴れを同じ構図で繋いだり、アリゾナではカメラを回したり背景を強調したり、ディレクションを参考としつつも少しずつ調整して最終版としています。

 やはり正面中央が曇っているというのは致命的でしたが、リフレームで見せ方を変え「演出」として活用することでなんとか動画になったかと思います。insta360 X4で全方位撮影していたことによる不幸中の幸いですね。

曇りを使った演出

 2泊3日かけて撮影した動画が没になるのは非常に残念だったので、今回ChatGPTにアイディア出しをお願いしましたが、素材の特徴をちゃんと演出したディレクションが出来ているように思いました。リフレームの見せ方も理解できていて、参考になります。

 「モトブログ」「360度動画」「アクシデント」「霧のアリゾナ(福島)」という普通ではない素材の組み合わせを、文字によるプロンプトだけで理解できるのはそれだけで驚愕です。今後マルチモーダルが進んで素材を直接読み込むことができれば、一番楽しい撮影だけ人間がやって、動画編集そのものもAI任せにできてしまいそう。

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