わたし
SixTONESの『わたし』を視聴されたことはあるだろうか。
もともとジャニーズは好きだったが(学生時代の女性は必修科目ではないだろか)、推していたグループが事実上解散になったことでジャニーズからは離れていた。
ふとしたきっかけでSixTONESのラジオ『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』を視聴するようになり、そこで流れてきたのが上記の『わたし』という楽曲である。
メンバー全員のジャニーズJr.時代を知っているので歌がうまいことは知っていたが、わたしが驚いたのはその歌詞だ。
ジャニーズの楽曲といえば表面的なこと、浮いた恋心しか描かれていないイメージであった。それもまたジャニーズらしくて良いのだが、心の機微だとか、もどかしい気持ちとか、上手く言語化できないところを描かれていないような、そんな気がしている。
しかし、ことSixTONESの楽曲においては、「汚れた靴磨いてもまたすぐに泥だらけになるんだ」や「不確かなモンに乱されたくはないの コワレモノを不意に預けたなら 傷ついて傷付けて 直るはずもないのに」
恋に怯えながらも落ちてしまった女性の心理を見事なまでに歌詞に落とし込んでいる。
こんな繊細な歌詞、あるのだろうか。聞いた瞬間に心が奪われてしまった。
わたし自身たくさん恋愛をした。いや、そのどれもが正しくもあり間違っていた。間違えたことが正しかったというか。
決して美しい恋なんかではなかった。ネット社会の現代、インターネットで出会うなんてざらであるし、例に外れずインターネットでばかり男性と出会ってきた。むしろリアルで出会う男性は恋愛対象外になっているのではないかと疑うほどだ。
実は先日も心乱されることがあった。
毎回思うのだけど、やっぱりわたしを選ばない男性はセンスがない。ほら、やはりわたしって魅力しかないのだから。センスのない男なんてこちらから願い下げ。…なんて、負け犬の遠吠えなのかもしれないけれど、言ってみる。
でもそんな彼らにわたしは全てを晒さなくてよかったとも安堵するのだ。
彼らは知らない。
わたしがスウェーデンの麦畑で牧羊犬と追いかけっこしたあの瞬間を。
彼らは知らない。
アメリカホームステイ中にあった密かな恋を。
彼らは知らない。
わたしが本当に抱えているものを。
全て愛しい愛しいわたしの一部。
それをそんな彼らに与えてしまわなくて本当によかったと心から思うのだ。
結局、去るものは去ってしまう。その分ステキな人に会う確率もあがる。過去に縋るなんてわたしみたいなステキな女がすることではない。
本当にステキな男性に"わたし"を奪われてしまうその日まで、美しいわたしは今日もわたしを生きるのだ。