『マメナシの木の前に再び』
22年目の今日、「Survivor Tree」の前に立つ。
September 11, 2001。すべてが崩れ去った焦土の下から救い上げられた、
一本のマメナシの木。
9年の歳月、植物園の専門チームの手厚い治療を受けて、幹に生々しく傷痕はとどめていても、新しい枝に緑の葉をつけて、慰霊の場所、メモリアルに帰ってきた。
「Survivor Tree」と呼ばれ、苛まれたNew Yorkerの心の、希望と復活の力、精神的な象徴となった。
22年目の今日、「Survivor Tree」の前に立つ。
折しも、夏の雷雨に打たれて、雨のしずくが木立からしたたり落ちていた。
まるで、溢れる涙のしずくのように。
22年の間に、疾病・災害・紛争と、世界も個人の人生も変わった。
再び、この木の前に立つと、生死を分かった一瞬が思い起こされる。
あの時は、命さえあれば、今の一瞬を生きよ、強い信念と力を湧き上がらせながらの一瞬、一瞬だった。
明日を運ぶ命があれば、未来は続く、例えちぎれるほどの悲しみ、怒り、慟哭を抱えながらでも、今を生きよ、と。
22年後、新たな、今までにない未来を描けと、木立をふるわせて、また勇気を与えてくれた。
September 11, 2023
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下の動画ではNew Yorkの秋も感じて頂けると思います。ぜひご覧下さい。