
子供について考えた
姪っ子に折り紙を教えてもらった。
私はこれまで鶴をちゃんと折れたことがなかった。
…………
中学受験シーズン、私立に合格した生徒が公立受験を控えてる同級生に向けて千羽鶴を折る強制イベントがあった。私立女子高の受験に受かっていた私も鶴を作る側として集められていた。
鶴の折り方を、同席した苦手なクラスメイト女子に教えてもらってなんとか一羽生み出したのだが
どこか間違えたおかしな鶴だったようで苦手な女子に大笑いされた。お前の教え方の結果だぞ。
そして折り紙への苦手意識は倍増したのだった。
…………
あれから10数年が経ち。
なんやかんやあり結婚して姪っ子ができた。
姪っ子は思春期に突入するような年頃で、それでも叔父にあたる私の夫とは仲良しだ。
私にも叔父さんはいるが、こんなに親しくしていなかったよなーと羨ましく思った。
今回姪っ子と合うのは3回目くらいで、まだ打ち解けられていないと感じる。
いつも帰るような頃に少し交流できたかな?くらいになって終わるのだが今回もそんな感じで、折り紙を一緒に折ってお別れした。
次会う頃、まだ折り紙で遊んでいるだろうか?と思っては子供の成長の早さに勝手に切なくなっている。
ひとの子供の成長の早さは体感で3倍ほど早い気がする。
言ってみれば子なし夫婦なので自分の子供の成長の早さというものを知らないから、まぁなんとも言えぬが。
子を持つことについてここ最近考えさせられている。
こちらに引っ越してきて、精神科も転院した。初めての通院で、
「避妊してください」
と言われた。
というのも、結婚したばかりだということを伝えたら子供を設ける予定について聞かれて私はつい
「ゆくゆくは……」
などと曖昧な返答をしてしまった。それが主治医に火をつけてしまったようで、
・現在服薬中の薬を飲んだまま妊娠するとリスクがある
・子供を設ける場合、精神科と産科が併設されている病院に通院するのが望ましい
・転院せずこの病院に通うなら避妊をちゃんとしてほしい
このような説明を受けた。産科と精神科が併設ともなるとだいぶ遠くの病院に通うことになってしまう。
妊活をする段階でももう薬の調整が必要になってくるから、とかなり念入りに説明された。
衝撃的な内容ではない。全然想定内のことしか言われなかったのに、私は衝撃を受けた。英語で言うところのショックだった。
帰り道、ぽかんとしながら歩いた。歩いてたら以前買って美味しかったパンのお店があったから寄ってパンを3つ選んで買った。マイバッグに店員さんが進んでパンを詰めてくれた。
自分のご機嫌取りを、帰宅するより前にできて安心したのであった。
数日後、これまで経験したことのないタイプの不正出血があったので婦人科に行ってきた。こちらも引っ越してから初めてかかる病院。
まず待ち時間が長くて、色んな女性がいて、思春期くらいの親子も小さな子連れの人もいて、待合室の室温が暖かすぎて、疲れた。
妊娠はしてないと分かりつつも可能性はゼロではなかった為そこも含め調べてもらった。
予想通り妊娠はしておらず、不正出血は大きな病気ではなく無排卵とかなんとか、と言われて診察は終わった。
診察が終わったタイミングで仕事終わりの夫から電話がかかってきて、病院まで迎えに来てもらって一緒に帰った。
まるで意識を向けろ(意識を向けるな)と言われているようだと思った。
たとえそんなことはなくても。
何がどこで引っ掛かって辛いのか詳しく分からないけど、辛い。
他の健康的な人よりハードルが高めに設定されていることとか、
今すぐ子供を設けるつもりじゃないはずなのに毎回生理で一喜一憂したり、
そもそも私のような人間(経済力のない精神障害者)が子供を育てるなんて無謀なのに、
分かっていても気を抜くと憧れてる。
現実的に、無理でしょ。って一言を出して鎮めてる。
子供をもつことについて、恐らく私ばかり、考えていた。今月はしばらくそうだった。