なぜ主人公に惹かれるのか?結婚式に出て、ラウンドキャラクターの強さに気づく
シナリオ・センターのあらいです。
ここしばらくは、『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)が1冊の書籍になるまでをレポートしてきましたが、今回はちょっと休憩。
義理の妹の結婚式に参加して、気づいたこと。
前述の拙著でも取り上げた、「ラウンドキャラクター」と「セミラウンドキャラクター」の違いについて、考えてみたいと思います。
「ラウンドキャラクター」と「セミラウンドキャラクター」とは?
この考え方は、登場人物の軽重を考えるときに大切になります。
主人公は「ラウンドキャラクター」で描き、
脇役は「セミラウンドキャラクター」で描きます。
「ラウンドキャラクター」は、どこからみてもラウンド型になっているという意味で、主人公の「公」の部分と、「私」の部分をどちらも描くと言うべし!というものです。
そうすることで、観客が主人公に感情移入しやすくなります。
一方「セミラウンドキャラクター」は、半円形です。主人公との関わる部分において、完全な人になります。
なので、主人公の会社の同僚であれば、会社でのつきあいの部分のみが描かれます。脇役の「私」の部分は、ほぼ描かれません。
主人公と脇役を、このように描き分けることで、登場人物に軽重が生まれます。たまに、脇役の方が活躍してしまって、「主人公が誰なの問題」が初心者の方の作品ではよく起こります。そんな問題を起こさないために、描き分けがあります。
詳しくは、拙著『シナリオ・センター式 物語のつくり方』p150−156を参照してください!
結婚式でみた義妹の「私」の部分
で、義妹の結婚式。
義妹とぼくは、そこそこ仲がいいと思います。我が家に、3ヶ月ペースで遊びに来ますし、妻が子どもをお風呂に入れている間も、和気あいあいと話をします。
そんな義妹が、めでたくも結婚をすることになりました。
で、ぼくにとって意外だったのが、結婚式をするということでした。しかも、想定している式が、けっこう女性っぽい(こういう言い方が適切かと言うのはありますが)イメージの内容なのです。
義妹は、男友達も多いですし、仕事でおかしいと思うことがあれば、忌憚なく言うタイプです。嫌なことがあっても、それを面白おかしく話してくれます。
女性っぽい感じというよりは、サバサバしたキャラクターだと思っていたので、かわいらしい式のイメージが、ずっと義妹のキャラクターと一致しないでいたのです。
で、結婚式の当日。
義妹の友達や、同僚の方からの祝福のされ方などを見ていて、なんとも素敵だな、と思ったのです。変にウェットな感じもなく、ぼくが知っている義妹のキャラクターのままに、でも、義妹の意外な一面を見たような気がしたのです。
で、思いました!
あ、ぼくが知っている義妹の面は、あくまでセミラウンドだったのだ、と。当たり前ですが、義妹には、ぼくの知らない彼女の人生があり、人間関係の築き方があります。そういった面を、今回の結婚式で目にすることができました。
そしてその光景が、とても素敵だったわけです。
結婚式という短い時間ではあっても、「観客のぼく」には、義妹が「セミラウンド」から、「ラウンドキャラクター」へと変わったのです。
そして、「ラウンドキャラクター」には、観客を惹き込む力があるということを、改めて感じました。
いろいろな考え方で、結婚式をやらないことも多いと聞きます。それは個人の自由ですが、結婚式というのは、参列者の皆さんという観客に、「ラウンドキャラクターの自分」をみせる場でもあるのかもしれません。
だから、みんな感動して泣けるのでしょうね。
義妹の素敵な結婚式のおかげで、気づきが深まりました。
シナリオ・センターのあらいでした。
「ラウンドキャラクター」「セミラウンドキャラクター」などなど、創作に役立つ表現技術をまとめた一冊です。是非、お手に取ってみてください。
物語は、ずいぶんと身近にあるものです!
『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)7月28日より好評発売中。すでに4刷!!
どんな本なのか、簡単ですがまとめています。