『怪談のシーハナ聞かせてよ。第弐章』全怪談をレビューする#03:ガクヅケの木田さんが大変なものを盗んでいってしまいました
今回は、第三回(2018/11/12放映回)を取り上げます。
収録された怪談は、「飛行機」「お父さんの実家」「カーペット」「火事」「ボディボード」「お母さんの職場」の六本。
ゲスト怪談師は、お笑いコンビガクヅケの木田さんと、とうもろこしの会の今仁英輔さん。
、、、なのですが、この回は、なんとも複雑な珍回ですよ!いや、なんか、何度も何度も、ほっこり笑っちゃいます。
ガクヅケの木田さんが、凄いのです。「怪談が巧い」わけではありません。むしろ、、、言っちゃなんですが、ヘタと言わざるを得ません。
・「その部屋は畳の広い部屋で、、、」といった明らかな言い間違い(広いのは畳じゃなくて、畳何畳分の広さの部屋と言おうとした模様)
・「ええと、、、それで、、、」という、言葉の詰まり
・「僕はその家で、、、あ、それは父親の実家なんですけど、、、あ、九州の田舎でして、、、」という、舞台説明のヌケモレの多さ
ところが、それら「ヘタ」と言われても仕方ない躓きひとつひとつが、木田さんの不思議なキャラと相まって、なんだかみんなが手に汗握って「がんばって最後まで話せるかな?」とヒヤヒヤ応援するような、不思議な場になってしまいます。ケミストリーとしかいいようのない一体感が生まれます。
聞き手のハズの、狩野英孝さんも鉢嶺杏奈さんもあさにゃんさんも、「それでどうなったの?」とか、「あ、それはつまりお父さんの実家の親戚の方ってこと?」など、助け舟を何度も出し始め。
しまいには、「オチはこういうこと?」と狩野英孝さんが解釈すると、「ああ、なるほど、そういうことかもしれません」と話し手の木田さんが頷いてしまう始末!あなたが持ってきた怪談のオチを人にオトされてどうするw。いや、そんな感じで、なんか凄い回ですね。
これをワザとやっているなら木田さん凄いことですが、実際のところはなんでしょう、めちゃくちゃ緊張していたのでしょうか?
怪談語りのテクニックでは今仁さんのほうが安定の巧さなのに、ぜんぶ木田さんの奇妙なキャラに持って行かれてしまうという、なんとも不条理な回でもあり。
そんな風変わりな回となった第三回。
今回も怪談ひとつひとつ、レビューを入れていきますね!
※なお例によって、◎、○、▲は私の主観でのポイント付けですので、あくまで参考程度としてください!
「飛行機」
語り手は上間月貴さん。珍しいことに、UFOネタですね、、、と思わせておいて、オチは意外にも、ヒトコワ系とも解釈できるほうに流れていった。いったい何が起こったの?と不気味な後味が残ります(○)。
「お父さんの実家」
語り手は木田さん。たぶん、怖い話。巧く話せばちゃんと怖い話のはず。なのに、語りがいろいろと変なので、木田さんのキャラのほうにみんなの意識がどうしても行ってしまう!(▲)
というわけで怪談としては微妙な筈なのですが、それを受けて、番組解説役の糸柳さんが「そうだ、記憶違いをめぐる怪談といえば、他にこんなのがありますよ」と、短い一話を挟み込んでくれる、このハナシがとても怖い(◎)。糸柳さんの突発追加怪談を引き出したという意味で木田さんの快挙なのでした!
「カーペット」
今仁英輔さんが、擬音語の反復を巧みに使った、安定の語り口で攻めてきます。これは普通に怖い。幽霊(?)が何を言ったのかが記憶から消えているというオチがなおさら怖い!(◎)
「火事」
木田さんが語り手。これもじゅうぶんに怖い筈なのですが、木田さんの語りだと時間軸がわかりにくく、やはり木田さんのキャラのほうに目が行ってしまう!せっかくのキーパーソンが「お坊さんみたいな人」と説明されたのが私にはツボでした。「お坊さん」断定形でよいではないですかw?「バールのようなもの」のような不自然な違和感がいつまでも、、、!(▲)
「ボディボード」
今仁英輔さん。なぜかボディボードが「お腹の上に乗っかってくる」という奇妙なシチュエーションの原因は、、、?擬音語の反復でぐいぐい引き込んできます!海が直接舞台ではないのに海怪談のエッセンスが詰まっているアラワザ。あとこの話が終わった後、あさにゃんさんが「そういえば私も海関係で怖い体験が、、、」と語り始めた短いトークもかなり怖かった。ゲスト怪談師さんの怪談が番組レギュラーの「聴き手」側にも怪談を話し出させてしまったという、怪談ケミストリーが発生!(○)
「お母さんの職場」
もう一度、木田さんがリベンジ。これは、怪談界隈では有名な、「あのデパート火災」に関するハナシですね。これは怖い、、、はずなのですが、狩野英孝さんの「やっぱり焦げ臭かったんでしょうか?」のナイスツッコミが一気に笑い路線に戻してしまいます。確信犯だとしたらこのツッコミは見事ですよ、狩野さん!「火事」の怪談となぜかリンクしてしまう、大喜利のような狩野さんのヒトコトで、やはりお笑い路線に戻されてしまったのでした(○)。
と、なんだか不思議なほっこり空間に収まった、変わり種の回となったのでした!
次回は、とうもろこしの会の吉田会長が登壇する、第四回のレビューをさせていただきます!
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