これは隠れた心霊ホラー傑作!?『境界カメラ』という視聴者を巻き込む楽しいホラーのカタチ【フェイクドキュメンタリーを止めるな!】
皆さん、こんにちは。
フェイクドキュメンタリー系のホラーが大好きという側面を持つ私、
過去にも様々なその手の映画レビューをやってきましたが、
今回取り上げるのは、かなり「並のフェイクドキュメンタリーには飽きてきた上級者向け」かもしれません。私自身、ネット上の口コミで発見して視聴、以来、「2010年代日本ホラー界隈の隠し鉱山」と絶賛し続けている作品、
寺内康太郎監督の『境界カメラ』1-4です。
人によっては「なんじゃこりゃ?」と怒りのレビューを上げている場合もある、賛否両論なこの作品。
いやあ、
いいですねえ、
自分自身は「面白かった!」と思った作品が、世間的には評価がイマイチ、な時ほど、ネットでレビュー記事を書くモチベーション、燃え上がりませんか?
今回は、まさに、私にとってはそんな回になりそう。よし、始めましょうか!
まずは概要の説明から↓
【あらすじ】心霊ビデオを撮影している最中だったディレクター「ナリモト」が突然失踪した!それから約一年後、残された制作チームの元には謎の差出人から一本のビデオテープが。そこには呪いのビデオと思われる不気味な映像が録画されていた。かくして寺内康太郎監督をディレクターに据えた取材チームが、失踪したナリモトディレクターの行方を巡る謎と、送られてきた不気味な心霊ビデオの謎、二つの謎を解き明かすために行動を開始する!この四巻のDVDシリーズはその顛末をまとめたドキュメンタリーである!
、、、という内容の、
大作フェイクドキュメンタリーですw
ところがこの作品、なかなか面白い!
というのはこの作品、
視聴者と一緒に作って行くような壮大な仕掛けのフェイクドキュメンタリーとなっており、
もともとはニコニコ生放送で何年もかけて続けられていた企画モノだそうなのですが
視聴者からのコメントや投稿をつどつど、反映しながら物語を進めているライブ感覚が、なんともワクワクして、素晴らしい!
結局のところ、
ナリモトディレクター失踪事件については第三巻で解決しまして、
その顛末を見ると、
このディレクターの失踪事件自体が「やらせ」だったのか、それとも、本当に何らかの制作上のトラブルで行方をくらませていた人物だったのかはよくわかりませんが、
このナリモトなる人物を探しているうちに様々な新しい「心霊動画」が取材陣に送りつけられてきたり
「キリタニ」なるホンモノの霊能者と思われる人物の名前が事件の背後に浮上してきたりして
話がとても壮大になっていくw
もはや視聴者の興味は(よい意味で)ナリモト氏から「キリタニ」の正体にズレているので、ここからのクライマックスがおおいに盛り上がる。
しかも、面白いと思ったのは、そうした「続々と登場する新たな心霊動画」について、
視聴者がその検証に参加し、「この動画はどうやらフェイクだ」「しかしこちらの動画はフェイクらしい痕跡がない!」と、視聴者による検証結果がどんどん物語にも反映されていること!
というか、おそらく、
私の推測では、
この『境界カメラ』、たぶん、心霊動画を何個か用意してそれを随所随所で公開し、視聴者が検証して「これはフェイクっぽい」と指摘されたものは、物語の中で「誰かが取材陣を撹乱するために創作して送ってきたフェイクだった」という展開にし、視聴者の検証を経ても「これは本物の心霊ではなかろうか?」となったものを、最後まで「本物」として残したのではないでしょうか?w
そしてついに問題の「本物と思われる心霊動画」が撮影された場所と撮影者の特定が成功し、すべての謎が解明されるのが第四巻なのですが、
個人的には、第四巻後半ですべての謎が解明されたら急に「よくある心霊フェイクドキュメンタリーとあまり変わらない印象のオハナシ」に収まってしまった気もして、
いっそのこと、呪いのテープの正体については、もっと「謎は謎のまま放置」でもよかったような気もしますが、まあ、これは好みの問題。
いずれにせよ、
リアルタイム視聴者参加型のフェイクドキュメンタリーという、
なんとも胸踊る楽しい「方向」を切り拓いてくれた点で私は『境界カメラ』を高く評価するものですし、
この路線の作品がぜひ、今後もまた、現れてほしいとも思ったのでした。
なお、監督をした寺内康太郎氏には、『監死カメラ』シリーズを含め、この手の遊び心溢れるフェイクドキュメンタリー作品が多く、私としては何とも目の離せないネームなのでした。
こういう、視聴者からの「今の白い影はフェイクっぽいw役者じゃねえの?」「あれ?でもそのフェイクっぽい動きをしている役者の背後の窓にナンか変なモノが映ってない?」「ほんとだ!こっちはホンモノの心霊かも!キャー!」というコメント弾幕にリアルタイムに反応して取材チームも動いて行くライブ感って、まさに「ニコニコ動画」世代がたどり着くべきフェイクドキュメンタリーホラーの形って気がして、、、いいぞ!私はこういうのを支持する!