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四時間半の大作映画『チリの闘い』の鑑賞を終えて
昨日の記事の通りパトリシオ・グスマン監督の『チリの闘い』を購入した私、
あのあと、DVD三枚組を一日で全部鑑賞してしまいました
意外だったのは作品の冷静さ。チリ軍政クーデター(※)前夜を扱ったドキュメンタリーとのことなので、「軍事独裁政権が憎い!」という重苦しい怒りに満ちたものかと勝手に想像していたのですが、
あくまでもクーデターが起こるまでのチリ社会のさまざまな人々を群像的に描いているもので、とても冷静沈着、公平な目線でした。
特に、決してアジェンデ政権のことを「素晴らしかった」とヨイショするわけでもなく、「それはそれで内部対立や矛盾や行き詰まりに苦しんでいた」ということを冷静にみている作品。
政治ドキュメンタリーの撮り方の鑑のような姿勢にひたすら感服
ともあれチリの現代史についてしっかり前知識がないと、難しい作品かもしれませんね。ラテンアメリカ史に興味あるはずの私にとっても知らない人名や地名が続出。私もまだまだ勉強しないと。
(※)選挙で選ばれたアジェンデ大統領政権が、ピノチェト将軍率いる軍のクーデターで倒され、チリの民事主義がその後しばらく軍事独裁体制に陥り後退した節目の事件。この映画にも、大統領官邸が空軍のジェット攻撃機によって執拗に空爆(!)されるというショッキングな場面の映像が残っています。ただただ現代史とはおそろしい、、、