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映画レビュー:『IT/イット THE END』を原作ファンの私が高く評価する理由
世の映画レビューサイトなどを見ていると、どうも『IT/イット THE END』に対する辛口批評が多いようで。
しかし、しかしですよ。映画について、世の中の評価の低さに対して「いや自分は面白いと思った!」と感じた時の、映画レビューって、モチベーション燃えますよね。
そうです。世の低評価に対して、原作小説の大ファンである私、ひとつ、言わせてもらいたいです。
いや、なかなか良かったですよ!
あれ以上を望むのはもはや残酷ですよ。
というのもですね、
どだい、あの原作を映画化すること自体、無茶なんですw。
なにせ『IT』は、スティーブン・キング小説の中でも、とりわけハナシがどんどん壮大になってしまった作品。悪口ではないけれども、いってしまえば、「オオブロシキ」小説。もっともキング先生のこと、しっかりとひろげたオオブロシキは(強引にであっても)たたんでくれるので、読み応え抜群の「ジャンル越境小説」に仕上がっているわけですが、
もともとがそんな力業(!?)の小説、映像化はかなり無茶なハズなのです。
それでも、思春期の少年少女がピエロ姿の悪魔に立ち向かう、という前編は、まだ映画化しやすい。ジュブナイル冒険映画として感情移入しやすいから。
いっぽう、中年のオトナになった彼らが再度ピエロに立ち向かう後編は、まことに映画化が難しい。感情移入がどうしても困難な展開になるから。それも、前編の少年少女時代編に「一種のファンタジー」として感情移入した人ほど、後編のいきなりの大人ドラマ展開にはノレなくなってしまうという心理的な問題もある。これはどんな脚本家も泣かせるであろう、原作そのものの構成の難しさです。
だから私は、「イットを映画化するなら、もう原作は無視して、少年少女が謎のピエロと戦うジュブナイルホラーとしてまとめてしまったほうがよいのでは」と思ってました。
ところが今回の『IT/イット THE END』は、真正面から原作に向き合ってます。マジメか!とツッコミたいくらいに原作の味をなんとか再現しようとしています。
さすがにペニーワイズの倒し方については、原作とは大きく異なる、なかば肉弾戦(w)に持ち込んでしまいましたが、
宇宙巨大亀までもが登場する原作の壮大なサイキック戦をさすがに映像化はできず、仕方なかったんじゃないですかね。
まとめると、
どだい、あの原作は映画化が難しい。映画製作者泣かせな素材。
そこから逃げずに、かなり原作展開に忠実に映像化をした上で、ちゃんと最後まで飽きない見せ場をもってきてくれたところは、原作ファンとして高く評価したい。
いやいやホントに面白かったですよ。じゅうぶんな出来じゃないですかね?
あと個人的に、基本的に洞窟の中のシーンだけになるクライマックスの撮影は、照明班が死ぬほどの努力をしたところなんだろうな、と感嘆いたしました。あの撮影は大変だったはずだ、、、!撮影技術チームに敢闘賞を送りたい!