見出し画像

『ウクライナ・ノート』:漫画で伝えるウクライナ「ホロドモール(大飢饉)」の歴史-20世紀史てのがイカれてるとは知ってたけどさて21世紀は…?

※本記事内の参考文献URLおよび参考DVDのURLにはAmazonアフィリエイトリンクを貼らせて頂いております旨、あらかじめご了承ください

今起きているウクライナ問題について、ロシアの方を持つ意見の人が、「そもそもウクライナ文化なんてものは存在しない。もともとウクライナはロシアと一心同体だった。ウクライナ文化などというものを主張し始めたのは最近のウクライナ側のプロパガンダだ」みたいなことを仰ることがあるが、もちろん、話はそんな単純じゃないし、歴史を少し遡ればそんなにロシア側に都合のよい歴史なんてのは、ない。

、、、というような話を考える時の、参考になるかもしれない本として、イタリアの漫画家、イゴルトさんの『ウクライナノート』を紹介したいと思います。約百年前に起きたホロドモールを、漫画(ヨーロッパ流儀で言えば「グラフィックノベル」)という表現方法で扱った作品。これは良い。

これを読むと、

ウクライナ文化というのは何度も何度も根絶されて奪われてきた、というのがわかる。どーしても「そんなものはない」、ということに「したい」、という執念があるらしい。怖えな本当にもう。。。

『ウクライナ・ノート』{イゴルト作/栗原俊秀訳/花伝社)

国家が、ある特定の地域を意図的に飢饉に誘導して特定の民族を全滅寸前に追いやるて、、、それを許したらもう何でもやれてしまうではないか。

『ウクライナ・ノート』{イゴルト作/栗原俊秀訳/花伝社)

まあ、私自身、あまり昔の歴史のことをほじくりだして現代の対立を煽るみたいな構図にはしたくないし、

特に20世紀の世界史というのは本当にイカれているので、あまりそのことに拘ってしまうよりも、

いかに「二度と20世紀みたいな地獄の殺し合い連鎖はやめよう、だって、ほら、もう、21世紀だもの!」と前に進みたいとは思うけど、

問題は21世紀になって、百年前と大して変わらないと言わざるを得ない事件ばかり起きる点。ただし、そういう事件を見る我々の目は、百年前と比べて冷ややかになってる、、、とは思う。ニュースを受け取る一般庶民というものがずいぶんと騙されにくくなっているとは信じたい。

まあ、ともあれ、

『ウクライナ・ノート』を、オススメいたします。

冷静な筆致に感心するし、漫画とかコミックとか呼ばれるものの「表現力」に、「ああ、こういう難しい問題をも漫画は扱えるのか」という点に、私個人は打たれた。この作家さんには今後、注目したいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?