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恐るべし古典SF映画『宇宙飛行』(1936):どこにもスターリンが映ってないのに「スターリン」を感じる!?別にホラーではないのに何て怖い映画!

こんなことって、あるんですねえ、、、

と思ってしまった、ロシアのSF映画、

『宇宙飛行』(Космический рейс)。

なんと1936年の作品です。

まず、申し述べておきたいこと。

これはソ連時代に造られた、古いSFですが、

ちゃんとロケットの中では無重力状態が再現されていたり、月では地球よりも高くジャンプできたりと、

科学考証および特撮が、めちゃくちゃハイクオリティで驚きました。

ですが、

私が今回、この幻のロシアSF映画を観て、どうしても思ってしまったことがある。

これは1936年の作品。

そうです、スターリン時代の真っ最中の制作です。

そしてこの映画、別にスターリン自身はどこにも登場しないのに、、、宇宙船の名前が「スターリン号」だったり、、、いかにもソ連共産党が好みそうな「金髪に青い目の典型的なスラブ系のヒロインと少年」が、いかにも模範的な礼儀正しさで数々の困難を乗りこえ大活躍したり、、、月面着陸に成功したらソ連を表す「USSR」の文字を刻んだりと、、、

つまり、

スターリンが映ってないのに「ああスターリンに目をつけられないように、めちゃくちゃスターリンの気に入りそうな絵をつなげまくってるな」という意味で、最初から最後までスターリンの存在感を感じてしまう!そしてこの映画、これだけ気を使ったのに、「月面の幻想的なシーンが社会主義リアリズム精神的によろしくない」と検閲にケチをつけられ、1980年代まで封印されてしまっていた映画だそうです!

めちゃくちゃよくできている特撮映画な上に、めちゃくちゃスターリン同志の気に入りそうな絵作りをがんばってるのに、、、これでも「ボツ」なの!?

こええなあ、、、

怖いよお、、、

でもこの、映画スタッフも俳優たちも、「その場にはいないはずの独裁者のことをどこかでずーっと意識してる感じ」が、私なんぞがこの映画を見ていちばん、汲み取るべきポイントなのかもしれない。。。

でもねえ、、、最後に、とっても嫌になるハナシですが、

この映画が出たのが1936年。

この数年後には、第二次世界大戦でも最大級の地獄、独ソ戦が始まるのですよね、、、


このスタッフさんたちや、キャストさんたち、そしてかわいらしい女優さんや子役たち、、、この数年後、無事だったのでしょうか?

この映画に写っている人たちの、わずか数年後の生存確率を、、、考えたくない、、、でも、、、どうしても考えてしまう、、、内容は楽天的な、ただの特撮SF冒険映画の筈なのに、なんてイヤな後味なんだ!


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