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私の愛するSF小説『順列都市』と画家ボッスとの意外な関係
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私がもっとも敬愛するSF小説家となると、優等生的ながら、ジュール・ヴェルヌやHGウェルズの名前をあげざるを得ませんが、
私をSFにハメた、そもそもの「一作」となれば、もう少し、トンガッた作品の名前を思い浮かべます。
たとえば、若き日の私を心から魅惑し、
若き日の私をSF好きに一夜で変えてしまった、
そして今でも私が愛してやまないSF「作品」となれば、それはもう、コチラになります。
グレッグ・イーガンの『順列都市』です。
実のところ、
私はこのnoteで常々、
暗号資産とか、バーチャルリアリティとか、AIとかの、 SF的なテーマの考察をいろいろと喋りますが、
本当に気になって気になって仕方がないテクノロジーテーマをひとつだけ挙げろと言われたら、「脳エミュレーションによる人類の不死は可能か?」だと思う。脳エミュレーションというのは、簡単に言うと、あなたや私の「脳内」の情報をデジタル化してコンピュータに入れてしまうこと。もちろんこの技術が原理的に可能かどうかはまだ未知数ですが、もし可能となると、人類はついに「不死」というあり方を手に入れられる(かもしれない)。
もっとも、私自身は、
「脳エミュレーションによって不死になりたい」
と思っているわけではなく、
「もし私の生きているうちに脳エミュレーションが可能になったら、、、私はどうしようかな?不死になってみたい気もするが、不死なんてめんどくさいから自然死を選ぶ気もするな、、、」とおおいに迷うだろう、という哲学的テーマとして、このテーマを思考実験として、おおいに愛する。
そういう意味では、『順列都市』には、
まさにトリッキーな、秀逸すぎるアイデアでの「脳エミュレーションによる不死の世界」が描かれます。ネタバレになるからこれ以上は書かないが、なんとなんと、この小説で描かれる脳エミュレーションの方法をとると、テロリストが全世界のネットを破壊しようが、いや、この宇宙そのものが滅亡しようが、「私の脳をコピーした『私』」はまさに無限の時間、保存されることが可能なのです!もちろんSF設定であって、この「塵保存」というアイデアが科学的に本当に実現可能なのかは別の話だが、「なるほど、理論的には、無限に生きられる!」と魅了された。
そういう意味で、怖いけど、魅惑的でもある、この『順列都市』が、いまだに私の中では「もっとも愛するSF小説」であり続けています↓
ところで、順列都市には、もうひとつ、面白いコネタがある。主人公が、まさに「永遠に生きる」実験のためにしつらえた仮想現実界の部屋の中に、
ボッスの絵が飾られてるらしいんですよねw
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地獄絵を得意としていたボッスの絵が、「永遠に生きる実験をしている被験体」の視界にいつも映っているって、とうぜん、グレッグ・イーガン一流のアイロニーですよね?こういう、美術史までをも参照する「小ネタ」の巧みさ、ますます、私は、この小説が好きなのです。
というわけで、私の好きなSF小説『順列都市』を語りました。本作品で描かれるのは、驚天動地の方法で「不死」が可能になった世界。。。これほど若い頃からずっと私を魅力している「SFテーマ」はない。
こういう「突飛な」未来予想に打たれて、「まさかまさか、もし、まんいち、こんな未来が本当に来てしまったとしたら、自分はどういう生き方を選ぶだろうか」と悩むことで、今を生きている私の隠された欲望とか不安とか価値観とかが炙り出されるような感覚、、、これぞ、私にとってのSFの醍醐味なのです。というわけで、「奇想」系のテツガク的なSF小説こそ、やはり、私の好物でありんす。