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【雑記】文化的な生活とは

 マンガ「健康で文化的な最低限度の生活」を原作としたテレビドラマが始まったらしい。

 「健康で文化的な~」はさまざまな生活保護受給者と、福祉課職員の交流を描いた作品である。貧困や孤独といった深刻なテーマを扱っているが、それでも生きていくのだ、ということを肯定的に描いているように思う。

 文化的な生活とは何だろうか。以前に読んだ本では「文」とは飾り模様のことであるとあった。

 衣服というものは本来、人の体を寒さを害虫や岩の角から保護するためのものであるから、その役に立てば足りる。これを「質」(実質、実用)という。しかし人間の生活が進歩するとそれだけでは物足りなくなって、衣服に模様を描いたりヒラヒラをつけたりする。これが「文」(もよう、かざり)である。(高島俊男 『中国の大盗賊・完全版』)

 本来生きていくうえで必要のない装飾が「文」であり、そういった「文」に意味や価値を見出していくことを「文化」というのだそうだ。
 つまり、文化とは無駄を大切にするということではないのか。
 たとえば音楽や絵画、映画や小説といった娯楽。あるいは酒やタバコといった嗜好品など。生物として生きていくうえで必ずしも必要ではないものを、作ったり消費したりすることが「文化的な生活」といえるのではないか。

 無駄を大切にする「文化」に対する言葉はなんだろうか。それは「機能」ではないか。ある目的のために装飾を廃して実用性に特化させることである。無地のタオルが「機能」でキャラクターがプリントされたタオルが「文化」であるといえる。

 ところで「機能美」という言葉がある。飾り気のない実用的なもの、「文」から離れた「実」にも美的価値を見出してしまうところがあるわけで、人間はつくづく文化的な生き物であるのかもしれない。

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