【雑記】分かり合うための感情と論理

 3月28日放送のTBSラジオ「伊集院光とらじおと」のゲスト、脳科学者の黒川伊保子先生のお話が、わたし的には「SNSでの議論がうまくいかないのは何故なのか」についての説明になっていてとてもよかった。
 黒川先生曰く、コミュニケーションには共感や感情を伝えるための「心の文脈」と問題解決を求めたり事柄を伝えるための「事実の文脈」があり、「感情の文脈」での会話に「事実の文脈」で応答してはいけない(逆もまた然り)、ということだった。

 以前、実際の問題と感情の問題を切り分けなければ議論はできない、ということを書いたので、この話には非常に納得感があった。

 SNSでの衝突はこの「文脈」がかみ合っていないことから起きていることが多いように思う。もし議論になったら、まず解決すべきは感情なのか現実問題なのかを分けるところから始める必要がある。なぜなら「心の文脈」を解決するのは議論ではなく共感とねぎらいだからだ。
 
 衝突の発端になることが多いTwitterでバズる「特に具体例も検証例もない、なんかふわっとした説」は、たいていの場合「心の文脈」で行われているので「具体例は?」「データは?」という「事実の文脈」で聞いてはいけない。求めているのは「わかるわー」とか「大変だったんですね」といった言葉だからだ。

 わたしはこういった「ふわっとした説」は愚痴なんじゃないかと考えて「感情の排泄」と書いたが、黒川先生のお話を聞いてあまり外れてないんじゃないかという気がしている。

 黒川先生は「男女には好むコミュニケーションに偏向がある」という話を語るときに、自身の脳科学者という肩書きから「男脳女脳論」に回収されないようにとても気を付けてしゃべっていて好感が持てた。
  実際に性差による偏りはあるかもしれないが、コミュニケーションは感情と論理を交えて行われるというのは、男女を超えた普遍的な話であると考えたほうがいいだろう。

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