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【漫画】今年面白かったマンガ 2019
2019年もあとわずかなので、今年読んで面白かったマンガについて書いておく。
「王様たちのヴァイキング」さだやす(全19巻)
天才ハッカーの成長と活躍を描き、「才能とは何か」について考えさせられるよいマンガ。最後はまくった感じもあるが、ラストは美しかった!
「ドラフトキング」クロマツテツロウ(既刊3巻)
プロ野球のスカウトマンを描いたマンガ。地味ながら非常に面白い。
才能を見つけ育てる人々のプライドと、プロの世界の厳しさが垣間見える良作。
「天竺熱風禄」伊藤勢(全6巻)
田中芳樹原作。生涯に唐(中国)と天竺(インド)を3往復し、チベット・ネパール軍を率いてインド軍と戦った外交官(史実!)の物語のコミカライズ。
伊藤勢の自然描写の濃さ、人物描写の熱さ、演出描写の巧さに加え、仏教への造詣の深さが交じり合った傑作!
「不死身のパイセン」田口翔太郎(全1巻)
笑いと恐怖の距離の近さを実感できる異色のホラーマンガ。
ある日を境に怪異を引き寄せるようになってしまった先輩と、どんな怪異が現れても動じない後輩のかけあいが面白い。そして、ちゃんと怖い(重要!)。
なぜ怪異は先輩の前に現れるのか…その謎も描かれている。
「スキップとローファー」高松美咲(既刊2巻)
田舎から東京に進学した女の子と、同級生たちの学校生活を描いた学園もの。主人子・みつみの描かれ方もいいんだけど、同級生の江頭ミカがいい。身の丈を分かってしまう「賢さ」を持ちながら、あこがれや想いをあきらめられず、懸命に背伸びしてしまう姿が青春ぽいくて好き。
「ブス界へようこそ」河野大樹(既刊21巻)
kindleのインディーズマンガ(同人マンガ)。
ブスを気に病んで自殺した女の子が、勝ち抜けば美人に生まれ変われる「ブス界」という異世界に転生して戦う物語。一般紙では掲載しにくい内容だが、わりとガチなテーマがあって熱さのあるバトルマンガ。編集者を経ない良さと悪さが出ているが面白い。
「でっちあげ」田近康平(連載中)
ノンフィクションのコミカライズ。
バンチが15年前の冤罪事件を今コミカライズすることに意図を感じる。わたしの想像通りなら意義のあることだと思う。おそらく1巻分(4話ぐらい?)は母親視点で描かれて、2巻に引き込む構成だと思うので、原作未読の人は1巻通して読むとよいかも。
「シシファック」堀北カモメ(読み切り)
第一回トーチ漫画賞「山田参助賞」受賞作品。
凶暴なイノシシと命がけでファックしようとする男の話。どうかしているマンガなんだが、作者のメッセージを読むとただのギャグマンガではないのでは?という気がしてくる。これは令和の「プロレタリア漫画」……なのか?
『シシファック』堀北カモメ氏(37才・建築系職人)がくれた次回作の企画書。涙が出た。連載にこぎつけるために話し合わなくてはならないことが沢山あるけど、一番大事なものが伝わってきた。涙が出た。 https://t.co/tlhfLez9ui pic.twitter.com/22yWl2ZLpv
— 中川敦 (@naka_atsu17) December 4, 2019
「霞の甚左」長田要(連載中)
【絶賛発売中】
— ローレンス_編集部 (@lawrence_hensyu) November 28, 2019
最新号「劇画ローレンス1月号」は全国のコンビニ、通販等で絶賛発売中です! 今日は「いい(11)ツヤ(28)」の日。艶のある熟女満載です♡#劇画ローレンスhttps://t.co/iJgxlPvg4L pic.twitter.com/1SydF6CWEZ
今年読んだマンガの中で最も衝撃を受けたのが「霞の甚左」。
王道にして最新の劇画時代劇で、1話18ページのなかの情報の密度が濃く、背景にある設定の厚さを感じる。コマ割り、セリフもそうとう練りこまれているように思う。これほどの作品を描ける作家が、野に埋もれるようにエロ劇画雑誌にひっそりと連載しているのが、作中の凄腕の山賊たちと重なって響いてくる。
「霞の甚左」はめちゃくちゃ面白いんだが、他人にすすめにくい。
それは、コンビニのエロ本排除のあおりで休刊したエロ劇画雑誌「漫画ローレンス」の後継雑誌「劇画ローレンス(隔月発売!)」でしか読めないから!