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SCALE座談会:フリーランスPRパーソンの“ホンネ”(前編) ~フリーランスになった経緯/良かったこと~

SCALEのファウンダーの本田氏を中心に、事業会社出身からPR会社出身まで、経験や境遇は様々な中で独立という形で転身を遂げた5名がホンネを語ります。(左から大迫雄毅さん、野島優美さん、本田哲也氏、岡村真由子さん、佐賀晶子さん)

※当記事は、SCALE Powered by PRがスタートした2020年2月に実施した対談のレポートです。

「SCALE」発表に伴い運営事務局では、FOUNDERの本田氏を囲み、現役のフリーランスPRパーソンとの座談会を実施。フリーランスとして活躍する方々の生の声に迫りながら、働く上でのホンネと課題、今後の展望について伺いました。

前編では、それぞれのフリーランスになった経緯と独立後のメリットについてお送りします。

事業会社経験者やPR会社出身者まで様々な境遇の中で一念発起。独立したそれぞれの経緯とは

本田氏:今日はお集まりいただきありがとうございます!フリーランスのPRパーソンとしてご活躍の皆さんにフリーランスになってからの課題や今後の可能性などについて伺っていければと思いますが、まずお一人ずつ今どういうお仕事をされているのか、どのような経緯でフリーランスになったのかを教えて頂けますか?

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佐賀さん:私は事業会社でこれまで7社、広報を務めてきました。最初は政府機関の広報、その後大手3社を経験して、後にスタートアップを3社経験したのですが、そこまで経験すると「もう転職ではないな」と思っていました。
一方で独立志向はなく、一人でやっていけるとは全く思っていなかったのですが、会社員として働くことに限界を感じるフェーズにちょうど差し掛かっていたこともあって、「やってみてダメだったらまた別の道を考えればいいかな」と決断しました。独立してちょうど1年くらいたちますが、フリーランスになってよかったと思っています。自分らしい働き方ができますし、日々楽しいです。

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大迫さん:僕はPR会社で10年程働いていましたが、さらに10年後の自分を思い描いた時に、これまで培った力をもっと外で活かして色々な人と繋がりながらお仕事したいなと思ったのが独立のきっかけです。元々起業思考があったので転職という発想はなく、まずはフリーランスとして外に出て行動してみようと思いました。今は主にフリーランスとして仕事をしながら仲間と一緒に起業もしています。個人としての仕事と、起業人としてD2Cの支援に関わる仕事の二軸で活動をしている感じです。

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野島さん:私は2018年からフリーランスになり、2年ほど経ちました。それまでは、私も10年ほどPR会社に勤めていました。それより前に、アパレルで店長として現場でモノを売っていた時代もあったのでそことのギャップがありPRの仕事を始めた頃は、エンドユーザーから遠い場所にいて「露出が出たよね」ということだけでは、手触り感を得られずモヤモヤすることも多かったんです。
そんな中、地方自治体を主に担当するチームに所属し、「本当に自分の町を良くしたい」と思っている地元の方々と関われたことで「地域の仕事ってすごく面白いな」と思えるようになりました。ある時、自治体の職員の方から「PRの面白さに目覚めた」と言われて、その時に自分がPRをするというよりは彼ら自らがPRできるようになるための支援をもっとしたいなと思うようになりました。
組織にいるとどうしても「会社として売り上げに繫がるのか」などの議論もありますので、外に出てもっと自分軸でやりたいことの実験をしたいと感じたのが独立のきっかけです。

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岡村さん:私もPR会社で働いていました。フリーランスになってあっという間に丸2年が経ちました。新卒で入ったPR会社では、1年目からフロントに立って案件を回し、ひたむきにスキルを磨き知見を蓄積していきました。3年間所属しましたが、多くの業界のPRを担当させて頂いて「できるかもしれない!」と自分の中で自信がつき、独立を決意しました。
また、会社員時代に新規営業も一時期担当してきたのですが、色々なお客様と話す中で、ベンチャーで立ち上げたばかりだと「PR会社に発注するお金はないけど、誰かにPRをお願いしたい」というニーズがかなり多いことも実感していました。「個人なら受けられることも多いのに」と感じることも多かったです。現在はまさに、広報/PR人材の採用や人手不足に頭を抱える企業を中心に小まわりのきくパートナーとして、ほぼ社員のような気持ちで日々PR活動に邁進しています。

「“働く仕事”と“働く相手”を選択できることの幸せ」 “拡張広報部員”としてクライアントの一部になった気持ちでワークする

本田氏:皆さんそれぞれバックグラウンドや仕事内容が多種多様ですね。「フリーランスになって一番よかったこと」はなにかありましたか?

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大迫さん:独立後は、これまでお会いすることのなかったような方々に出会う機会が圧倒的に増えました。特に同世代で活躍されている経営者の方が多いです。もちろん会社員時代もそういう機会は多かったですが、PRとしてどう絡むかだけではなく自分の人生や事業にどのように関連づけていけるかと、視界が広くなったように思います。
さらに、それまでは自分で仕事の範囲を決めてしまっていたことが多かったように思いますが、フリーランスになってからは“PR視点”は常に持ちつつも今までやってきた業務範囲以外のことに対しても柔軟に取り組むようになりました。その結果、学ばせてもらう機会も増えました。

本田氏:組織に所属しているとどうしても限られた人としか仕事ができないとか、限られたタスクしか担当できないこともありますよね。

大迫さん:会社員時代は自分をハブにアウトソースして連携を図る仕事が多くなっていました。今は、新たにD2Cに関わる仕事にも軸足をおいていますが、自分でクライアントのネットショップをCMSサービスを活用して作ってみたり、SNSをディレクションしてみたり、さらにメディアの立場で記事の企画をしたりと、経験の幅が広がりました。生で話せることが多くなったと思います。

本田氏:皆さんの話を聞いていると、PRという仕事1本をピュアに突き進むというよりは、そこから派生する仕事が好きな人が多い印象がありますね。

全員:確かに!

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野島さん:特に自分の心に正直に、本当にやりたいことに時間を配分できるのが幸せだなと思います。会社員時代には、役職があがるにつれ、現場は若手に任せて「案件を取ってくる」ことをどうしても会社から期待されていくようになりました。それ自体は経営として大切なことだと理解していますが「案件を取ってくる」ことに時間が割かれるようになると「私はこのままでいいのかな」「PRパーソンとして足腰が弱くなくならないかな」と不安に思うこともありました。

本田氏:私自身もPR会社の経営を昨年までやっていましたが、やはり経営の仕事とPRの仕事が半々になってきてしまうんですよね。好きなので前線にはいようとするのだけど会社としても売上を上げるための話をせざるをえないこともありました。「必要でやらなければいけない」と思いつつもフレキシビリティがなくなってしまうことを実感として思っている方は多いと思いますね。
「フリーランスがいいか」「組織に所属することがいいか」の2択ではなくて、両方にいいところと悪いところがあって、そのバランスが大切なのかなと。そういった課題に対しては独立することは一つのアンサーなのかなと思いますよね。

野島さん:例えば半分はこれまで培ってきた能力やつながりを活かしてちゃんとお金を稼ぐ、そして残り半分で売り上げを気にせず自分のやりたいことにチャレンジできる、というのはフリーランスのメリットですよね。

佐賀さん:“働く仕事”と“働く相手”を選択できることは幸せです。会社という枠にとらわれず、自分がいいと思えるものをPRできるってなんて幸せなんだろうって。あとは、自分のペースで働くことができるのはいいなと思っています。とはいえ、個人事業主となってお金まわりのことをすべて自分でやらないといけないのは抵抗がありました。

本田氏:そこでフリーランスになることを躊躇している方は結構多いかもしれませんね。独立すると次はこれまでやってこなかった面倒なことも多いですからね。どうやって乗り越えたんですか?

佐賀さん:最終的には「独立したい」という気持ちの方が勝って(笑)。実際フリーランスになってみたら実はそういった地味な作業も私は意外と苦にならなかったですね。

本田氏:それはよかったです!PR会社にいた方はもともと何社ものクライアントを担当しているなどフリーランスになるバックグラウンドがあると思いますが、事業会社にずっといた佐賀さんはそこに対する不安はありませんでしたか?

佐賀さん:そうですね、それはおっしゃるとおりです。ただ、結果論ではありますが、複数の会社・組織で広報を担当してきたことがフリーランスでの働き方にすごく生きています。特に、大企業とベンチャーの両方を経験したことが本当に良かった。逆にPR会社の経験がないからこそ、お仕事をさせていただくと「良い意味で期待を裏切られた!」と言ってくださることも多くて。どちらかというと「拡張広報部員」のような、社外にも広報部員がいるイメージというか、「この会社を一緒に応援する人」という立ち位置でやっています。

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本田氏:「拡張広報部員」!いい言葉だなぁ。岡村さんはフリーランスになってよかったことはどんなことでしたか?

岡村さん:会社員時代は「代理店とクライアント」という立場が明確だったのですが、フリーランスになって担当している会社をいかに盛り上げていくかという当事者意識がより芽生えるようになりました。その会社のメンバーの一員としてやっているような意識にシフトしたことによって仕事がますます楽しくなりましたね。色々な会社に所属しているイメージです!

大迫さん:確かに、その会社に所属している感覚が芽生えると初めて気づく課題はありますよね。代理店として接していた時には見えてこなかったクライアント側の問題や事情が見えてくる。

岡村さん:あとは、フリーランスだけど「個人」という意識ではなくて、「様々なところへの“所属”を複数持っている」という感じで孤独感はないですよね。

大迫さん:そういう意味では会社員時代よりもゆるく広い横のつながりができて「豊かになった」という感じはあります!

本田氏:こういうことが伝わればフリーランスを選択肢の一つと考える人たちがもっと増えるかもしれないですよね。逆に若くしてフリーになったわけだから大変なことはありますか?

岡村さん:孤独感はない、とはいえ個人事業主なので、組織であれば本当にパンクしたときにチームの協力を仰げますが、フリーランスだとどうしてもヘルプなときに助けを求められないのは辛いところかもしれませんね。

全員:それはある……!(笑)

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後編に続く…)

※当記事は、SCALE Powered by PRがスタートした2020年2月に実施した対談のレポートです。

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