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ベトナムで教育熱心な親が急増!人気の習い事は英語、算数そして◯◯

 こんにちは、Scala Global noteです。
 このnoteでは、私たちが事業開発の中で取り組んでいる重点テーマ【農業】【医療】【教育】の中から、気になるスタートアップや関連ニュースを取り上げ、我々なりの視点で、その「本質」に迫りたいと思います。
 今回は【教育】の中から特にベトナムの教育トレンド、そして今後注目すべき教育分野についてご紹介します。

ベトナムの教育市場は右肩上がりで拡大

 ベトナムの人口は約9,730万人(2020年)で、毎年約100万人ずつ増加しています。平均年齢は31歳(日本は48歳)でとても若くて活気のある国です。2009年に1,000 USDを超えた一人当たりGDPは、2019年には3,000 USDに迫っており、今後の消費が活発になることが見込まれます。
 実際、生活水準向上に伴って、教育費は増加傾向にあります。就学者一人あたりの平均年間教育費は、2008年から2018年の10年間で3.6倍に増えています。また、就学者一人あたりの平均年間教育費662.3万VND(約3万6000円)のうち、18.8%にあたる約5,800円/年が、学習塾への費用に使われているなど、課外学習の支出に積極的な傾向も見られます。

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出所:「ベトナム 教育(Edtech)産業調査(2021年1月)」

コロナ禍で教育のオンライン化が進む

 ベトナムにおけるEdTechスタートアップへの投資は、約56億7,000万円(2018年)で、2016年の約21億2,000万円から2年で2.7倍に伸び、スタートアップエコシステムが徐々に整備されてきていることがわかります。2020年のコロナ禍では、政府が小中学校にオンライン授業を義務化するなど、オンライン教育が国民にとって馴染みやすいものとなりました。実際、ベトナム郵電公社VNPTが提供する大手eラーニングサービス「VNPT E-Learning」のユーザーはコロナ前と比べて4倍の500万人まで増加するなど、Edtech企業にとっては追い風となりました。

高学歴志向の家庭を中心に幼少期からの習い事が注目されている

 高学歴志向の高まりと共に、幼児教育が注目され始めています。特に、都市部ではタブレットを用いた英語や算数の教育アプリが普及しています。
 今回は、ベトナムの2大Ed-Tech企業であるKYNA.vnとTOPICA Ed-Tech Groupが、それぞれ手がける子供向けのeラーニングサービスをご紹介します。

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出所: Kyna HP 

 Kyna.VNは社会人教育プラットフォームとして大きく事業を伸ばし、現在ユーザは450万人以上を抱えています。社会人向け事業で蓄積したノウハウをもとに子供向け英語教育を中心にKYNA for Kidsというプラットフォームを展開しています。ベトナムの中堅都市部の中学校において、有能な教師の不足等様々な課題を理解し、ベトナムの教育を改善するきっかけとして 、KYNA For Kidsが設立しています。現在、KYNA for Kidsは英会話サービスに加え、国語・算数・英語・そろばんが学べる総合的な教育アプリKyna Schoolを提供しており、順調にユーザーを伸ばしています。

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出所: Topica HP  

 Topicaは2008年に英語教育を中心に海外展開したベトナム唯一の企業です。KidtopiはTopicaグループが、2019年に3.5億円投資した、子供向け1on1をベースとしてオンライン英会話サービスです。米国学習基準CCSSのカリキュラムを提供するなど、質の高い教育が特徴的であり、大人向けに構築したネイティブスピーカーのネットワークを駆使して上質な1on1レッスンを展開しています。

 ベトナム最大手の2社はともに英語教育を中心に幼児教育を展開していることから、英語がベトナムにおいて最も関心のある教科ということがわかります。また、マーケットポテンシャルも高いことが言えるかと思います。

 そろばんが注目されている!?その理由とは

 英語、算数に加えて近年そろばんが幼児教育の中で注目されています。2017年には、関西最大規模のそろばん教室を運営する、クエスト企画がベトナムに本格進出しました。全国に108教室を展開する「Soroban Vietnam」やオンライン教育のKyna for KidsやKids Upも「そろばん」をコンテンツに加えるなど、ベトナムの国内企業もそろばん事業を積極に推進してしています。

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出所:Soroban Vietnam HP , Kidsup HP

 ベトナムでそろばんが人気になっている理由は2つ考えられます。
 1つ目は、理数系科目を重視するベトナムの教育方針です。
OECDが15歳を対象に実施している国際的な学力到達度調査(2015)によると、ベトナムは科学的リテラシー:525点(70カ国中8位)、読解力:487点(同32位)、数学的リテラシー:495点(同22位)で、OECD平均(70カ国)はそれぞれ490点、493点、493点であることから、ベトナムが国語などに比べて理数系に強いことがわかります。なお、国際競争力のある産業人材の育成、国の工業化、科学技術分野の強化に重点を置く文化が根付いており、幼少期からゲーム感覚で算数の四則演算が学べるそろばんが人気になりやすい国と言えます。

 2つ目は、そろばんとタブレットとの相性がいいという点です。そろばんは、その構造上オンラインで再現しやすく、タブレットのアプリであればAIで生徒一人に適した出題を自動的に行う「アダプティブ・ラーニング」の仕組みが実現しやすいという特徴があります。例えばKids UPというアプリでは、AIが利用されており、各個人の学習パスに応じて最適化された練習問題・テストが生成されています。このように、オンライン教育との親和性が高いのが、そろばんが普及してきた要因だと考えられます。

さいごに

 今回は、日本では昔から馴染みの深い「そろばん」という教育コンテンツが海外で普及している事例を取り上げました。日本人にとって身近なものでも、海外の人からすると魅力的に映ることがあります。皆様のご参考になれば幸いです。
 今後も、皆さんのビジネスのヒントになるような情報を発信していきたいと思います。それではまた次回お会いしましょう。
 

出所
1.JETRO 教育調査ページ
(https://www.jetro.go.jp/world/reports/2021/02/db6cdef49e854b9a.html)
2. Crunchbase HOCMAIページ(https://www.crunchbase.com/organization/hocmai)
3. Crunchbase Topica Edtech Groupページ
(https://www.crunchbase.com/organization/topica-edtech-gorup)
4. Crunchbase Elsaページ
(https://www.crunchbase.com/organization/elsa)
5. 進学塾のクエスト企画、ベトナムで日本式そろばん教室
(https://news.kobekeizai.jp/blog-entry-825.html)

トップ画像出所:https://publicdomainq.net/




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