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「お金の防災」を考える④〜被災後に受け取れるお金

毎年のように地震や豪雨による自然災害が、日本各地で発生しています。家具の転倒防止や非常食の備蓄など、モノの対策をしている方は多いかもしれません。けれど、被災して命が助かったあと、必要になるものは「お金」です!

前回までは地震保険について紹介してきましたが、今回から被災後に使える制度や受け取れるお金について解説します!

最大300万円受け取れる制度がある!

地震や水害にあったとき、住む場所がなくなると生活の基盤が崩れてしまいます。生活を立て直すためにも、住まいの確保は重要な問題です。

自然災害が原因で住宅に大きな被害をうけた場合、被災者生活再建支援制度で支援金を受け取ることができます。この制度では、住宅の壊れ具合や再建方法に応じて、下の表のように支給額が決められています。

どんな災害でもお金とくらしを守る-29

たとえば、住宅が全壊して新たに建てたり買ったりする場合は、300万円受け取ることができます。受け取った支援金の使い道に制限はなく、報告等も必要ありません。住宅の補修費用の補てんとして使用してもいいし、当面の生活費にあててもいいということです。

持ち家世帯だけではなく、賃貸世帯も支給の対象です。所得による金額の制限はなく誰でも受け取ることができますが、単身世帯の場合は受け取り金額が4分の3になります。

被災者生活再建支援制度は、住宅全壊被害が10世帯以上発生した市町村、もしくは100世帯以上発生した都道府県等に適用されます。住宅全壊が10世帯未満の市町村等は支払い対象となりません。自宅が全壊していたとしても、住んでいる地域で被害を受けた世帯が少ないと、この支援金がもらえない可能性があるということです。そこで、独自の支援制度をつくっている都道府県もあります。ただし、すべての自治体に独自の支援策があるわけではないので、自治体のウェブサイトや内閣府がまとめているこちらの一覧で確認しておきましょう。

大事なのは「り災証明書」

被災者生活再建支援制度をはじめとするさまざまな支援を受けるためには、り災証明書が必要です。この証明書は、住まいがどの程度の被害を受けたのかを、市町村長が証明するものです。被災者が市町村へ交付申請をする必要があります。

被災者から申請を受けた市町村は、住まいの被害を確認するため、調査員(市の職員など)を被災した住宅へ派遣します。被害状況の調査基準は国で定められていて、その結果から「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊(準半壊)」「一部損壊(10%未満)」の5区分で認定されます。この区分が被災者生活再建支援制度の支給額を決める「住宅の被害程度」の基準になります。

被災世帯が多いときには、調査員がすぐに来られるとは限らないので、被害状況の写真を取っておくことが大切です。建物の傾きや屋根のずれ、壁のひびなど、家の中も外もいろいろな角度で、できるだけ多くの写真を残しておきましょう。浸水した場合は、水につかった深さを測って撮影します。家だけではなく、家財の被害も忘れずに。この写真があれば、調査員が来るまでに壊れたものを片付けて、取り急ぎの修理をすることもできます。り災証明書だけでなく、保険の損害調査にも使えます。

被災してから必要な手続きを調べるのは大変です。平時の今、どこにどのような申請が必要になるのか確認しておくことが「お金の防災」につながります。

東日本大震災から9年。改めて防災について考えてみませんか?


次回は「被災後のお金のトラブル」について解説します。

「お金の防災」について、もっと知りたい!という方は、小学館クリエイティブ発行の『どんな災害でもお金とくらしを守る』をチェックしてみてください! テレビでも活躍中のファイナンシャルプランナー・清水 香先生が、地震保険や被災後にもらえるお金のことなど、わかりやすく解説しています! おかげ様で2020年2月に重版となりました!

編集担当:市村 珠里


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